世界の長寿地域ブルーゾーン。今回はコスタリカのニコヤ半島です。100歳以上の男性の人口密度が、世界で2番目に高い地域です。

コスタリカの風景

コスタリカってどこ?、という方も多いと思います。南北アメリカ大陸をつなぐ中米の、一番細くなっているところに、パナマ運河があります。そのパナマの北隣りが、コスタリカです。

自然の豊かな国で、世界の陸地の0.034%の広さの中に、世界の5%の生物多様性を含んでいます。ゲストハウスの外をイグアナが生息し建物の間をサルが跳ねていく場所。といえばイメージつくかもしれません。

ニコヤの歴史

長生きしているおじいさんたちの写真を見ると、日本人そっくりの方もいます。インディオの血を引く人たちは、ロシアとアメリカの間のベーリング海峡を超えていった、モンゴロイドです。遺伝的には共通点があるかもしれませんが、平均的な日本人よりも長生きしている。何か、その暮らしに秘密がありそうです。

ニコヤは、マヤ文明やアステカ文明のような、中米のメソアメリカ文明が盛んだった地域にあります。紀元前1500年頃からトウモロコシ、カボチャ、インゲン豆、唐辛子などを栽培し、今でも伝統を受け継ぐ食生活をしています。

食生活に加えて、家族を大切にし、耳を傾けて笑います。また、近所の人と頻繁に行き来し、目的をもって暮らしています。実際にどんな暮らしをしているのか、詳しく見てみましょう。

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ニコヤの暮らし – 9つのポイント

1. 植物主体の食事

ニコヤの100歳以上の人の食事は、全粒穀物が26%、乳製品が24%、野菜が14%となっています。多くの人々は裏庭に木を持っていて、木の実を取って食べます。豆やナッツもたくさん食べますが、肉はほとんど食べません。

ニコヤの人は、タバコはほとんど吸いませんが、コーヒーをたくさん飲んでいます。一人あたり消費量は世界2位です。コーヒーには抗酸化物質が含まれ、2008年のある研究は、コーヒーを飲む人は病気で死亡する確率が低いと示しています。

<参考> CareNet, 2018年7月24日
コーヒーによる寿命の延長効果は1日何杯まで?

2. 軽い夕食を食べる

とうもろこし

カロリーを抑えることは、長生きする最も確実な方法の1つに見えます。ニコヤの人は、朝食を主体に食べます。昼食と夕食は少な目で、夕食は夕方の早い時間にとります。

ニコヤの100歳以上の人々は、一生を通じて、スカッシュ(カボチャの仲間)、トウモロコシ、豆などをふんだんに使った、伝統的なメソアメリカの食事をしています。

3. 硬水を飲む

ニコヤの水は、コスタリカの中で最もカルシウム含有量が高くなっています。心臓病の発生率が低く、骨が強く、股関節骨折が少ないことをおそらく説明しています。

<参考> Revista Tecnologiaen Marcha, 2015, vol.28, n.3, pp.3-14
Differences water harness and longevity rates in the Peninsula of Nicoya of Guanacaste and the other districts

4. 日差しを浴びる

ニコヤの人は定期的に日光を浴び、ビタミンDを生成して、骨を強くし健康を維持しています。ビタミンD欠乏症は、骨粗しょう症や心臓病などの多くの問題に関連しています。腕と足に15分程度、定期的に日光を浴びると、食事だけでは不足しがちなビタミンDを充分に作り出すことができます。

5. 仕事に励む

ニコヤの100歳以上の人たちは、一生涯肉体労働を楽しんだようです。彼らは日常の身体を使った生活に喜びを見出します。

6. 人生の計画を立てる

成功した100歳以上の人は、強い目的意識を持っています。それによって必要とされていると感じ、またより良いものに貢献しようと感じます。

7. 家族を大切にする

家族もニコヤの人のライフスタイルの中心です。生涯を通じて子供や孫と一緒、またはその近くに住んでいます。家族と一緒に暮らすことで、目的意識を持ち、若い家族が成長するのを見守りながら、人生について前向きな見方を保つことができます。

8. 社会的な人間関係を維持する

ニコヤの100歳以上の人は、近所の人の訪問を頻繁に受けます。彼らは聞いて、笑って、自分の持っているものに感謝する方法を知っています。

9. 伝統につながる暮らし

現代のニコヤ人は、先住民のチョロテガとその伝統的な暮らしにつながっていて、比較的ストレスのないままで暮らしています。トウモロコシと豆主体の伝統的な食事は、世界でこれまでに知られている長寿のための栄養の中で、最高の組み合わせかもしれません。

ニコヤで使われる食材、カボチャと豆を使った料理

かぼちゃ

ニコヤでは、スカッシュというカボチャの仲間の野菜を豊富に使っています。また、5つのブルーゾーンに共通する特徴として、豆をたくさん食べています。これらと、アボカドとオリーブオイルを使った、簡単な料理をご紹介します。

カボチャと豆とアボカドのサラダ

材料(2~3人分)

  • カボチャ 1/6個
  • アボカド 1個
  • 大豆の水煮 100g
  • マヨネーズ 大さじ2
  • レモン汁 小さじ2
  • オリーブオイル 小さじ1

手順

  1. カボチャの皮をむき、1.5cmサイズに切る。
  2. 耐熱容器にカボチャと水を大さじ1入れ、ラップして電子レンジで600Wで6分間加熱する。
  3. アボカドの皮をむき、1cmサイズに切る。
  4. カボチャとアボカドと豆を、マヨネーズとレモン汁と和える。
  5. 皿に盛り、オリーブオイルをかける。

まとめ

いかがでしょう、ニコヤの暮らし。

早い時間帯に軽めの夕食をとる点は、カリフォルニアのロマリンダと一緒です。植物主体の食生活で、豆をたくさん食べる点も、他のブルーゾーンと共通しています。積極的に身体を動かしたり、家族や社会とのつながりを大切にしたりする点も、参考にしたいですね。次回は、ブルーゾーン最後の土地、いよいよ日本の沖縄です。

 

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執筆

sakura15

 

サイエンスライター。大学院にて生物情報を研究後、半導体開発や遺伝子解析ベンチャー企業に携わりました。 趣味は海外トレッキングで、ネパールを横断するグレートヒマラヤトレイルを歩くのが夢。 生物から理学まで幅広く見ながら、分かりやすく書くことを心がけています。

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