美しく健康でありたいという願いは、多くの人が持っているものです。美容とは本来、顔や体つき、肌を美しく整えることをいいます。ほんのひと時の上辺だけの美しさではなく、本当の意味で体の中から美しく整えるカギは、実は「毎日の習慣」が握っているのです。今回は、美容のために毎日続けたい習慣を5つご紹介します。

①正しいスキンケア

正しいスキンケア

美容のために、スキンケアを毎日行っている方も多いことでしょう。毎日数回、肌にダイレクトにはたらきかけるスキンケアを正しく行うことは、美容にとって重要な要素です。

化粧品は本来、安全性を担保されています。私たちが入手できるスキンケアアイテムは、基本的に安心して利用できるはずですが、肌の性質には個人差があるため、化粧品の表示をよく読み自分に合うものを使うようにしましょう。

例えば、「敏感肌用」や「無添加」などは製造者側が記載している表示であり、実は明確な基準がありません。一般的に「無添加」という表示は、肌トラブルを起こすおそれがあるとして「表示指定成分」に義務づけられている成分を使用していないという意味で使われているケースが多いです。現在は、化粧品については全成分の表示が義務付けられているため、商品の成分表示をよく確認することが大切です。※1

スキンケアとは、皮膚を健康に保つことです。そして、皮膚(肌)本来が持つ機能を活かし、高めることで美容につながると考えられます。スキンケアアイテムは、皮膚が持つ恒常性を保ち、機能を整えます。「洗う」「整える」「守る」ことを目的として、不足したり低下したりしている水分や保湿因子、油分などを補います。※1、2

スキンケアその1 「洗う」

肌を健康に保つためにまず重要なのが、清潔に保つこと=洗浄、つまりクレンジングや洗顔です。皮膚の汚れには、皮脂に由来する汚れ、タンパク質汚れ、水溶性の汚れがあります。具体的には、皮脂やその酸化物、はがれた角質、汗、ほこりや塵、残ったメイクなどです。メイクにはクレンジング料を、それ以外の汚れには洗顔料を使用します。※1、2

洗うときは、肌をこすらないことと十分に洗い流すことを意識しましょう。クレンジング料や洗顔料にはさまざまな性質や液性のものがありますが、どの洗顔料を使うときもこの点が重要です。※1、2

クレンジングには、2つの段階があります。

  1. クレンジング料と汚れをなじませる
  2. クレンジング料を肌からきちんと取り除く

このうち、②が不十分になると肌トラブルの原因になったり、その後のスキンケアの効果も十分に得られなくなったりする可能性があります。クレンジング後には洗顔料で洗顔し、クレンジング料をきちんと洗い流しましょう。※1

洗顔をするときは、使用する前に顔を水やぬるま湯で濡らしておくと、皮膚に吸着する界面活性剤吸着を減らすことができます。界面活性剤の影響が強すぎると皮膚のバリア機能が損なわれ、肌トラブルの原因となることがわかっています。※1

次に、適量の洗顔料をしっかりと泡立てることで、肌への刺激を低減します。適量の細かい泡を顔全体にひろげ、やさしく汚れをなじませます。その後は、水かぬるま湯でしっかりすすぐことが重要です。すすぐ水の温度もポイントで、温度が高すぎると肌に必要な油分まで流してしまい、温度が低すぎると洗浄成分が肌に残ってしまいます。最後に水分を拭き取る際は、柔らかいタオルを肌に軽く押し当てます。決して擦らないようにしましょう。※1

スキンケアその2 「整える」

皮膚を洗浄した後、角層にたっぷりと水分を与え、ゆっくりと乾燥させることで、皮膚のバリア機能を整え皮膚の健康を保つことができます。洗顔後は、乳液やクリームなどを塗る前に、まずは化粧水でしっかり潤しましょう。※1

化粧水をつけるときは、コットンを使用する方法と手で直接つける方法がありますが、どちらにも一長一短があります。使用アイテムによって推奨される方法が異なるため、パッケージの表示に従うのがよいでしょう。いずれの方法でも、塗布後30分後の保湿効果には大きな差がないとされています。※1

スキンケアその3 「守る」

適量の化粧水をしっかりなじませて角層の状態を整えた後は、水分が失われるのを防ぐために、油分を含むスキンケアアイテムで蓋をすることが大切です。乳液やクリームなどの油分を含む製品には、水分の蒸散を防止する蓋の役割や、外部からの刺激を防ぐバリア機能を高める効果があります。その効果をしっかりと発揮させるためにも、前述の通り、洗浄後に十分な水分を角層に与えて「整える」ケアをしておきましょう。※1

ちなみに、フェイスマスクを使用する場合は指定された時間を守りましょう。指定された時間以上に使用してしまうと、かえって肌の水分が蒸散し、バリア機能が一時的に低下することがあるため注意が必要です。※1

また、日焼けから肌を守るサンスクリーン剤(日焼け止め)も適切に使用しましょう。消費者は伸びの良い使用感の製品を求める傾向にありますが、使用感を優先するあまり使用量が足りず、結果として期待しているほどの紫外線防御効果が得られないことがあります。乳液タイプや化粧下地などのサンスクリーン剤では、推奨量のわずか1/6~1/4程度しか塗布できていないという報告もあるほどです。きちんと紫外線防御効果を得るためには、サンスクリーン剤の重ね塗りや、こまめな塗り直しも大切です。また、耐水性の高い製品を使用した後は、きちんとクレンジングをするようにしましょう。※1

②毎日の食事

毎日の食事

美容に良い食事とは、美容に効果があるとされる栄養素を含む食品をバランスよく摂取することです。具体的には、タンパク質、亜鉛、ビタミン類(A、C、D、E)、ポリフェノール、コラーゲン、コエンザイムQ10、必須脂肪酸などが挙げられます。※3

これらの栄養素を多く含む食品を一度にたくさん食べるのではなく、毎日の食事にバランスよく取り入れていくことが大切です。
また、栄養成分の特性(水溶性/脂溶性/加熱耐性など)に合わせて調理方法を工夫すると、効率よく摂取することができます。基本的には旬とされる時期に栄養価が高まるため、食品の旬を知り、その時期に栄養価が高い食品を積極的に取り入れるのもよいでしょう。どうしても不足してしまう栄養素については、サプリメントを上手に利用するものおすすめです。

美容に良い食事や栄養素について詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:美容に良い食事とは?美肌やアンチエイジングのために積極的に摂取したい栄養素や食べ物を紹介

さらに、美容やアンチエイジングに関するキーワードとして、「抗酸化」があります。抗酸化とは、体内に蓄積してしまった活性酸素に対抗するはたらきのことです。過剰な活性酸素は老化の原因のひとつであり、抗酸化効果のある食品を積極的に取り入れることは、美容に役立つと考えられます。

一番有名な抗酸化物質は、活性酸素を除去する作用があるビタミンCでしょう。その他にも、抗酸化の司令塔であるNRF2を活性化させる効果があるとして、本わさびの根茎に含まれる「わさびスルフォラファン」にも注目が集まっています。※4

抗酸化作用を高める成分について詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:細胞の抗酸化作用を高めるわさびスルフォラファンとは?抗酸化物質ビタミンCとの違いも解説

③定期的な運動

定期的な運動

運動が美容に良い影響を与えることは以前より知られています。特に、有酸素運動は全身の血行が良くなることで、肌の代謝が高まり肌を良い状態にすると考えられています。※5

有酸素運動と肌の状態について調べた研究によると、有酸素運動を週1~2回実施した群の被験者では、顔の水分量と油分量のバランスが一番良い傾向を示していたといいます。毎日必ず有酸素運動を行うのはハードルが高く感じますが、週1~2回でも効果が得られるのであれば、気軽に無理なく続けられるかもしれません。※5

また、近年の研究では筋力トレーニングがもたらす美容効果についても興味深い結果が報告されています。
立命館大学スポーツ健康科学部と、ポーラ化成工業株式会社が行った共同研究で明らかになったのは、有酸素運動と筋力トレーニングが皮膚老化を改善するという美容効果です。この研究では、40~50代女性の被験者を有酸素運動群と筋力トレーニング群に分け、それぞれ週に2回の運動を4ヶ月継続してもらいました。その結果、どちらの群においても皮膚の老化(加齢による皮膚の弾力性と真皮構造の劣化)に改善がみられました。運動によって血液の成分に変化が起こり、皮膚の線維芽細胞が真皮を作る成分ECM(細胞外基質:コラーゲン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンなど)を増やすためだと考えられます。さらに、筋力トレーニング群では加齢によって薄くなる真皮において、厚みが増加していることがわかりました。筋力トレーニングによって血液中の炎症性ケモカインであるCCL28とCXCL4が減り、真皮のECMの一種であるバイグリカンが増加したことが要因とのことです。真皮の厚みは、たるみやシミ、シワなどを軽減し、見た目の若々しさに影響していることから、特に美容面での効果があるといえます。※6、7

健康にも美容にも効果がある有酸素運動と筋力トレーニングをうまく組み合わせ、習慣として取り入れるのがよいでしょう。

なお、年齢によって筋肉量と筋力は低下しますが、幹細胞の機能が正常であれば、年齢にかかわらず筋線維の修復と肥⼤を通して筋⾁の量を増やすことは可能です。

筋肉と老化の関係性について詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:筋⾁と⽼化の関係性とは?サルコペニア予防や関連するAging Hallmarksについても解説

④シャワーよりも入浴を

シャワーよりも入浴を

美容に関心が高い人は入浴時間を大切にしているのではないでしょうか。入浴による温熱作用によって、さまざまな美容効果があると考えられています。

温熱作用とは、湯船に浸かり体が温まることで得られる効果です。温熱作用によって血管が広がり、血流が増加することで血液が体内に行き渡り、新陳代謝が活発になります。また、湯船に浸かると毛穴が開き、皮脂や皮膚表面の汚れを流れ出す清浄作用もあります。※8

また、シャワー浴と浴槽入浴では肌状態に与える影響に違いがみられたという実験結果があります。実験では、シャワー入浴が習慣となっている男女に、2週間にわたって38℃のお湯に10分以上肩まで浸かる浴槽入浴に変えてもらい、入浴後にさまざまな部位・項目のデータ測定、専門家による視診・触診、画像分析などで評価しました。なお、スキンケア方法など、入浴方法以外の習慣については変更していません。実験の結果、女性では目尻と頬の水分量、膝から足首の肌弾力、頬のキメのほか、肌のつや、潤い感、滑らかさ、くすみ、剥離角質細胞の項目で改善がみられたといいます。男性においても、頬の肌柔軟性や目尻のシワに一定の改善効果がみられました。※9
2週間でこれだけの変化がみられたのは非常に興味深く、自宅で毎日できる入浴の習慣で美容効果が期待できるのは喜ばしい結果といえます。

さらに、入浴の効果をより引き出す要素として、浴後の過ごし方が重要であるという調査結果もあります。この調査では、女性が入浴後に過ごす場として多いのは洗面室であり、そこでスキンケアやボディケアを行っていることがわかりました。洗面室の温度や湿度を整えることで、入浴後の肌の水分を保つことができるといいます。※10
湯船に浸かる浴槽入浴の後は、適度に温湿度を整えられた場所で肌のケアをすると、より良い美容効果を得られるといえます。

温浴刺激を受ける方法として、入浴の他にサウナもあります。サウナには、血流の促進や体温上昇による免疫活性効果、HSP(ヒートショックプロテイン)による老化抑制効果などが期待されています。

サウナの老化抑制効果について詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。

関連記事:サウナがもたらす老化抑制の可能性とAging Hallmarks

⑤質の良い睡眠

質の良い睡眠

睡眠は、心身や脳の休息、体内環境の整備、記憶の整理など私たちの生活維持に不可欠な行為です。また近年は、睡眠は健康に生きるために重要な役割を果たしており、睡眠障害が生活習慣病や認知症、精神疾患の発症にも関与していることもわかってきました。健康な人であっても、睡眠不足や睡眠の質によって昼間にやる気が起きなかったり、肌状態に悪影響を及ぼしたりします。特に、肌質への影響の要因として、睡眠不足が肌のバリア機能を低下させることがわかっています。また、細胞分裂や代謝の促進といった機能を持つ成長ホルモンは睡眠中に分泌されるため、睡眠不足によってそれらの機能がうまくはたらかなくなることも要因とされています。※11

さらに、睡眠状態のなかでも特に「寝つきの良さ」が肌に大きく関係しているという調査結果もあります。具体的には、寝付きまで30分以上かかることが週1回以上ある睡眠不良群は、寝つきが良い睡眠良群と比べて頬の角質水分量が低いことと、角層細胞面積が大きいことが確認されたといいます。角層細胞面積は肌が生まれ変わる速度の指標であり、加齢に伴い大きくなります。つまり、寝つきの悪い日が続くことで、肌の乾燥や肌のターンオーバーの遅延など、肌状態に良くない影響を及ぼすということです。※12

このことから、生活習慣を見直してまとまった睡眠時間を確保すること、寝る前のスマホ習慣をやめてリラックスした状態でふとんに入るなど、寝つくまでにかかる時間を短くすることで美容に良い効果が得られそうです。睡眠習慣を見直すことは、毎日実践できる最も簡単な美容対策といえるかもしれません。

美容に良いことを毎日少しずつ続けよう

以上、美容のために続けたい5つのことをまとめました。今日からトライできるものもあったのではないでしょうか。今回ご紹介したポイントはいずれも、毎日あるいは定期的に行うことで良い効果が期待できます。美しさは1日で手に入るものではありません。毎日少しずつ美容に良いことを続けて、習慣にしていきましょう。

参考資料

※1 南野美紀. (2018)化粧品の種類と使い方—スキンケア化粧品—. 日本香粧品学会誌. 42(2). 109-124.
※2 水戸医療センター. (2020) 令和2年度 看護公開講座資料【皮膚・排泄ケア1】正しいスキンケアをみにつけよう!
※3 Sonal Muzumdar, Katalin Ferenczi. (2021) Nutrition and youthful skin. Clinics in Dermatology. 39(5). 796-808.
※4 Keita Mizuno, et al. (2011) Glutathione Biosynthesis via Activation of the Nuclear Factor E2–Related Factor 2 (Nrf2) – Antioxidant-Response Element (ARE) Pathway Is Essential for Neuroprotective Effects of Sulforaphane and 6-(Methylsulfinyl) Hexyl Isothiocyanate. Journal of Pharmacological Sciences. 115(3). 320-328.
※5 織田修輔 ほか. (2019)運動習慣と生活習慣が顔面表皮の水分量に及ぼす影響について. 大阪青山大学短期大学部研究紀要. 39.
※6 Shu Nishikori, et al. (2023) Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matrices. Scientific Reports. 13. 10214.
※7 ポーラ化成工業株式会社. (2020) ニュースリリース「ポーラ化成、世界的に権威ある化粧品技術者学会にて発表 筋トレ(レジスタンス運動)が美肌をつくる」
※8 大阪市 水道局 ええことづくめ!お風呂の健康効果とおすすめの入浴法
※9 東京ガス都市生活研究所. (2011) 都市生活レポート 入浴による肌への効果~キレイな肌は浴槽入浴から~
※10 東京ガス都市生活研究所. (2018)都市生活レポート 「入浴×美容」のすすめ
※11 佐野朋美. (2020) 睡眠を介した全身健康「睡眠ヘルスケア」価値の創出. 香粧会. 44(3)
※12 KAO研究レポート. (2022)日々の睡眠が肌に影響を与えることを確認

執筆

看護師

岡部 美由紀

 

埼玉県内総合病院手術室(6年)、眼科クリニック(半年)勤務、IT関連企業(10年)勤務、都内総合病院手術室(1年半)、千葉県内眼科クリニック(1年)勤務。2011年よりヘルスケアライターとして活動。 現在は、一般向け疾患啓発サイト、医療従事者向け情報サイト等での執筆、 医療従事者への取材、記事作成などを行う。一般向けおよび医療従事者向け書籍の執筆・編集協力:看護の現場ですぐに役立つICU看護のキホン (ナースのためのスキルアップノート)、看護の現場ですぐに役立つ 人工呼吸ケアのキホン (ナースのためのスキルアップノート)、看護の現場ですぐに役立つ ドレーン管理のキホン (ナースのためのスキルアップノート)他

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