二つ以上の音の組み合わせで和音が生まれます。
今回は、コードの構成や動きを知って、和音の効果を探りたいと思います。
今回は、コードネーム(和音)がたくさん登場します。
ピアノをお持ちのみなさんは、ぜひどんな響きか弾いてみてください。
ドクターKのピアノレッスンです。
間違えたけど、今の音好きです!
マミィは間違えても褒めてくれるなあ(先生にしては珍しい…)
普通は怒られるところかもしれませんが、私は間違えることでそこから違う音楽を感じてなんだかワクワクするんです。
演奏中での間違え、身に覚えのある方も多いと思います。
理論や楽譜はあくまでベースであり、それを超えたところに1人1人の色や個性が出るのではないかと感じています。
とはいえ、闇雲に出た音は狙ったものではないので、再現が難しいものです。
ですが、その響きを生み出す方法を知っていれば、たとえ理論の知識があろうとなかろうとそれは「狙った響き」です。
和音の彩(いろどり)に乗ってメロディが紡がれる、曲を大きく広げてくれる要素です。
メロディが言葉とするならコードは空気、雰囲気を変える要素ではないでしょうか。
和音が変化した時に、どんな風に音楽が広がるのか、
またそれをどう生かしていくのかを考えてみたいと思います。
和音(コード)とは ~おさらい~
和音とは、鍵盤ひとつずつ飛ばして音を積んでいったものです。
ドを基本の音(ルートと呼びます)とすると、
コードネーム「C」の場合、ド、ミ、ソ となります。
コードネームとは、AからGまでの音名をベースに、下から一定に積まれてできた和音に名前をつけたものです。
ルート(一番下の音)をアルファベット表記しています。
カッコ内が正しいコード表記です。
例えば、Aメジャー(コード表記 = A)はラ、ド♯、ミ 、Aマイナー(コード表記 = Am)は ラ、ド、ミ
となります。
メジャーは明るい、マイナーは悲しい響き、です。
それ知ってる!真ん中の音を変えると、悲しくなったり明るくなったりするやつだ!
それそれ!以前のコラムでもやったね。(第10回コラム参照)
メジャーになるときピカーンって感じになるよ!!
私もこの変化大好きだよ。暗い部屋で明かりがついた感じだよね。
メジャー、マイナーの曲
始まりから終わりまで、明るいメジャーの和音のみで終わる曲は、
例えば、「かえるの歌」や「チューリップ」などの童謡があります。
子供が聞きやすく覚えやすい響きで終始しています。
確かにとても和みますが、大人の我々が聞くと、簡単で可愛い曲、という印象です。
逆にマイナーコードで始まる曲はどんなものがあるでしょう。
日本の曲、唱歌や民謡には多いようです。
「さくらさくら」や「荒城の月」などがそうです。
マイナーコードの曲は、演歌や民謡でも多く使われ、
そしてそこにアメリカからの強い影響が入り、現在のポップスに繋がっていきました。
日本人が昔からマイナーの曲調にどことなく郷愁を感じるのには、先祖代々の血が影響しているのかもしれません。
メジャー、マイナーが効果的に使われている曲
メジャーの中でマイナーのコードが入ってくる曲はどんなものがあるでしょう。
というよりも、圧倒的に混在している曲の方が多いです。
そして、以下ご紹介する和洋の楽曲、みなさんの印象はいかがでしょう。
ビートルズの「レットイットビー」は曲のキーとしてはCメジャーです。
メジャーなら明るい曲なのかな?と思いきや、途中Aマイナーが入ってきます。
なぜだか、静かな曲調やクラシカルなメロディの効果で、単純なドミソの和音であっても切なく響きます。
サビでは、マイナーから入って、メジャーで終わリます。
明るさの中に物悲しさが加わった、まさにクラシックといえる名曲です。
マイナーのコードは赤色としました。メジャーからのマイナーでググっと心に刺さる響きといえます。
では我々の故郷、日本からこの曲はいかがでしょう。
始まりと終わりは、E(ミソ♯シ)、メジャーの響きです。
ところがところどころに入ってくるマイナーのコード、これによって、複雑で繊細な変化が入ります。
このコードにメロディが乗ると、なんと切ないこと!
ジーンとくる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
また、「この道」ですが、メロディと言葉に重点を置いた一曲だな、と私は思います。
今流行っている曲には、コードやビート重視の曲が多いですし、その方が確かにわかりやすいのですが、
メロディの揺れに、リズムやコードがそのままついていっている、そんな印象です。
そのため、実は拍子がちょこちょこと変化していて、楽譜を見るとちょっとややこしいです。
ですが、なんともいえないゆったりと切ない曲です。
日英どちらの楽曲にもそれぞれに心にグッとくる良さがありますね。
みなさんはどちらの曲により心を掴まれるでしょうか。
3和音と 4和音
3つの音の重なりは、アルファベット1つで表現します。
C=ドミソ
F=ファラド
G=ソシレ
このような感じです。
続いて4和音です。
C7 = ドミソシ♭
F7 = ファラドミ♭
G7 = ソシレファ
構成音が1音増えています。 このカラクリ、お分かりでしょうか。
Cのルート(ベース音)はドです。
このドから数えて7番目の音シを追加すると「C7」(シーセブンス)となります。
(和音の構成ルールにより、シには♭が入ります)
先ほどの「この道」でも、B7(シ、レ♯、ファ♯、ラ)が使われていました。
三和音よりも複雑な響きとなり、楽曲がどことなく謎めいていて素敵な雰囲気になる、と思いませんか?
リラックスできる和音の繋ぎ
いわゆるコード進行、というと難しく感じますが、
理論を知らなくても、自然に落ち着くつながりを感じる2つのコードというものがあります。
学校でみなさん一度は聞いたことがあると思いますが、お辞儀の時のピアノ、みなさんも先生が挨拶に使う和音をなんとなくご存知かと思います。
進行が、5度(音)のつながりです。
お辞儀では、C(ド)キョウツケ→G(ソ)お辞儀→ C(ド) キョウツケ
人の動作に合う和音です。
この二つのコードでの進行で、転結(落ち着く)
また、皆さんがおそらくよくご存知のこの曲にも安心感があります。
この曲の進行はカノン進行と呼ばれ、さまざまな現代の楽曲でも使用されています。
同じ4つのコードの進行が繰り返されており、そこに違うメロディパターンが入っています。
D(レ)→A(ラ)→Bm(シ)→F♯m(ファ♯)→G(ソ)→D(レ)→G(ソ)→A(ラ)
この連続で楽曲が成り立っています。
You Tubeの動画の中で、楽譜が表示されていますが、低音の四分音符、こちらを追うと、
コード進行の音が拾えます。
こういった繰り返しがもたらす安心感は、リラックスできる一つの要素ではないかと思います。
いざコード進行探しへ!
じゃあ、何か落ち着くコード進行を見つけてみよう。
マイナーがいい!!
やっぱりそうきたね…
イーマイナー!(Em)
Em=ミソシ です。
今回は2つのコードのみで試してみましょう。
もう一つは何にしようか。
ディーマイナー(Dm)がいいかも!
Dm=レファラ、だね。1音下がるのね、じゃあ、この繰り返しで何かやってみるね。
では、この2つのマイナーコードでどんな世界が作れるかやってみました。
やはり三和音の構成音のみ使うとシンプルなので、メロディに7thや9thも追加しました。
♪2つのマイナーコードの曲 ( Em_Dm_Impro.mp3) 作曲:マミィ
一つの響きからもう一つの響きへ、
じっくりと彷徨う動きにリラックスを感じていただけるでしょうか。
永遠に繰り返される、終わりを感じないムードです。
今回の録音ではEmで終わりましたが、
Dmから5音落としてGで終わると、さらに救われる感じとなります。
ーーー
今回はコードでリラックス、というテーマでお話ししました。
もちろん、楽曲のムード、音づかいやテンポ、色々な要素が一つの楽曲を作っていて、
和音だけで語るのはなかなか難しいところです。
みなさんそれぞれにリラックスできる好みのコード進行が実はあると思います。
その進行がどんな心の変化を生むのか、ご自身で紐解くきっかけになれば幸いです。
今日ご紹介する曲は、「マミィ♪即興ピアノチャンネル」より、「青い雲、白い雲」というタイトルの曲です。
ゆったりとした大きなイメージで弾きました。
DをベースにBmなど登場します。
あ、また間違えた!