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以前、well-beingについて、「しあわせって、なんだっけ?」という記事を書きました。

今回は、well-being研究の変遷を少しひもときながら、また一緒に「しわせって、なんだっけ?」と考えてみたいと思います。

初期のwell-being研究は、快楽主義(hedonism)的な視点から行われており、ポジティブ感情が強く、ネガティブ感情が少ないことや感覚的な快楽が中心となっていました。

測定するためには、悲しみ、怒り、喜びといったいくつかの感情形容詞の経験を評価して、ポジティブ感情の多さ、ネガティブ感情の少なさで測ります。

それは、Hedonic(ヘドニック)well-beingと呼ばれ、そのときの幸福感や感情で評価されます。

その後、well-being研究は、幸福主義(eudaimonism)的な視点へと移り替わってきました。

Eudaimonia(エウダイモニア、ユーダイモニア)はもともとは、哲学者アリストテレスによる概念で「真の幸福とは、徳のある人生を生き、価値ある行為をすることによって得られる」とされています。

自分の強みを活かして、意味を感じられることに打ち込むことで得られるしあわせのことを指しています。

Eudemonic well-beingを測定する尺度には、「私は、人生の中で何をなすべきなのか、わかっていると思う」、「私は、自分の一番の強みは何であるかを知っているし、可能な限りそれを伸ばそうと努力していると思う」、「私の人生は、人生に意味をもたらすしっかりとした信念を軸に、展開している」といった項目があります。

こちらの捉え方では、人生の目的や意味をもたらすことに取り組んでいる中で経験する困難やネガティブな経験や感情も「しあわせになるためのプロセス」にあるものとなります。

この2つに加えて、Evaluative well-beingという視点もあります。

仕事や生活への満足感など自分の人生に対する満足感のことを指しています。

こちらは、Cantril Ladder(キャントリルのはしご)と呼ばれる尺度で測定されます。考えうる「最悪の人生」を0、「最高の人生」を10として、現在の生活を0~11の11段の梯子の中に位置づけることで測定されます。

 

「とにかく今すごくハッピーだ!」というしあわせ。

「強みを活かして、意味あることに打ち込み続けている」というしあわせ。

「最高の人生が送れている」というしあわせ。

皆さんは、どのwell-beingがぴったりきますか?

well-being研究は、まだまだ続いています。

もしかしたら、まだここには挙げられていない皆さんだけのぴったりとくる測定方法やフレーズがあるかもしれません。

「自分にとってのしあわせって、なんだろう?」

一緒に探し続けてみませんか。

 

【参考文献】

Steptoe A, et al. Psychological wellbeing, health, and ageing. Lancet, 385(9968): 640-648, 2015.

執筆

博士(心理学),臨床心理士,公認心理師

関屋 裕希(せきや ゆき)

 

1985年福岡県生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、筑波大学大学院人間総合科学研究科にて博士課程を修了。東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野に就職し、研究員として、労働者から小さい子をもつ母親、ベトナムの看護師まで、幅広い対象に合わせて、ストレスマネジメントプログラムの開発と効果検討研究に携わる。 現在は「デザイン×心理学」など、心理学の可能性を模索中。ここ数年の取組みの中心は、「ネガティブ感情を味方につける」、これから数年は「自分や他者を責める以外の方法でモチベートする」に取り組みたいと考えている。 中小企業から大手企業、自治体、学会でのシンポジウムなど、これまでの講演・研修、コンサルティングの実績は、10,000名以上。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。

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