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ドクターKのピアノレッスンがはじまりました。

 

マミィ、新しい曲にトライしてみたいです!楽譜をもってきたので弾いてみてくれますか?

乗ってますねぇ。うん、いい選曲ですね!このアレンジならきっと弾けますよ。

じゃ、さっそく弾いてみますね。

おお~!パチパチ。どうして先生は初見でもすぐに弾けるんだろう。僕の一週間が一瞬だ。

たくさんの楽譜を見て経験積んでいるからかな、このレベルなら大抵の先生はすぐに弾けると思いますよ。

 

経験の多い、少ない、だけでは納得のいかないドクターK。

これから自分もそうなるにはどうしたら…、何かヒントが欲しいようです。

 

このままだといつまでもマミィに正しい音を教えてもらわないとだもんな~(早く独り立ちしたい!)

 

では、どうしたら楽譜が読めるようになるか、考えてみましょう!

 

 

楽譜を見ること

楽譜を見て弾く、ということを長期経験している方は、ある程度の楽譜のパターンを記憶しており、音符を塊として捉えています。1音ずつじっくり見ていたら、確かに初見ではすらすら弾けません。ある程度音符に慣れていくトレーニングは必要かと思います。

それプラス、先を見て、次の手の位置やその他リズムなどの情報から雰囲気を予測することが必要です。

もちろん曲のレベルが高度になるほど、集中力やコツが必要ですし、私も小学生の頃は楽譜を読むのに四苦八苦していたことを思い出します。

いずれにしても楽譜を読むトレーニングや、絶対止まらずに弾き切る!という意気込みが必要ですが、誰でもコツを掴んで慣れていけば可能です。

 

まずは曲の全体を掴むことを覚えましょう!

 

 

音部記号とは

 

まずは音の位置を見ます。

 

楽譜は、音部記号(ト音記号、へ音記号など)で音符の場所を示しています。

この記号がないと、何の音を示しているかわからないので、必ず見ます。

 

下の図は「大譜表」といい、ト音記号とヘ音記号が括られたものです。

ト音記号上では「ド」でも、へ音記号では低音の「ミ」になリます。

 

 

このト音記号という名前の由来は、ト=ソの音を示しているので、ソの位置をここ!と決めるために音部記号に使われているのです。

へ音記号は同じ考え方で、へ=ファの音を提示しています。

 

どうして当たり前のように「ト音記号」や「へ音記号」が使われているんだろう?例えばドを基準にしたハ音記号でも良いのでは?

そうですよね。これまたいい質問です。どうしてこの記号に落ち着いたのでしょうね。

ちなみに普段は見慣れないと思いますが、ハ音記号もありますよ(ヴィオラ用の楽譜など)

音部記号には、この3種類の音部記号を使って、位置だけをずらしたものがたくさんあったのですが、現在は図の位置でト音記号、ヘ音記号、ハ音記号の3つが使われてます。

それぞれ楽器や声の音域によって使い分けがされているんですね。

 

 

 

 

楽譜の歴史

まずは、楽譜のルーツからお話します。

昔々、紀元前2世紀、まだ楽譜というものはなく、文字や記号を使って歌を伝えていたのが始まりのようです。初めは音部記号も入っていませんでした。

徐々に、4線譜に音部記号(FCを記載。後のへ音記号、ハ音記号となるもの)、音符(音符の形は、当時マルでなく、シカクでした)が記載されるるようになりました。

ネウマ譜と呼ばれるものです。

 

 

最終的にはバッハが活躍した17世紀には現代の楽譜のベースは完成されていたと言われています。

 

 

大譜表はピアノに特化したものです。

第一回のコラムで詳しく書きましたが、ピアノは楽器の中でもスペシャルに音域が広いです。そのため、多くの音域がカバーしやすい、記載しやすいようにドが真ん中にくるト音記号、ヘ音記号が採用されました。

 

ピアノの鍵盤の中に出てくるドを全て音符で並べてみました。

中央のドは、ト音記号、へ音記号とで記載する位置は変わりますが、同じ鍵盤を指しています。

さすがに、一番上のドとなると、加線が9本も必要ですが、この大譜表によって、ピアノの鍵盤すべての鍵盤を表現可能としました。

 

 

楽譜によって求められる高さが違うので、まずは音部記号を見て、どのあたりの高さの曲なのかチェックするようにしましょう!

 

 

ーーーー

 

初見の練習 やってみよう

簡単な楽譜を用意します。まだスタートしたばかりの方は子供用の初歩の楽譜が良いです。

ご自身のレベルに合わせて、ぱっと見てある程度鍵盤の位置や動きがイメージできる曲を選んでみてください。

 

ルールはこの3つ!

・知らない曲、1ページほどの短い曲を選ぶ

・弾き始めたら基本止めない

・間違えても気にしない

 

 

やり方

  1. まずは弾かずに頭の音部記号や、拍子記号(何分の何拍子?)、シャープやフラットの指示はあるかをチェック
  2. 全体を見てどのくらいの長さかチェック
  3. 手の位置はどこか?どこかで変わりそうな場所があるかチェック
  4. 手を鍵盤に置いたら、一気に弾きはじめます。
  5. 止まらずにとにかく最後まで弾く!(両手の曲の場合は片手のみでもOK)

 

 

最初からうまくできなくても大丈夫です。

 

大事なのは、緊張感を持って、止まらずに一曲弾ききることです。

またリズムがわからない場合は、まずは音符だけ追えれば良しとします。

 

 

 

止まっちゃダメなんて、ドキドキするなあ。だけど音符がどうしても覚えられない人はどうしたらいいの?

 

それはパッパ練習とフラッシュカードで解決しようか!

 

何?パッパって。ふらっしゅ??

 

例えば、自分でやるときは、次のページの最初の音、とかルールを決めてパッとみた音を鍵盤で弾く、という練習だよ。

先生や自分よりも上級者がいるときは、その人にパッパ音を指してもらってそれを弾いてもらう。

フラッシュカードは、音符のカードを使って、表に音符、裏に音名を書いたものをみて音符を覚えていくんだよ。

 

なんかゲームっぽくて楽しそ~

 

 

ピアノの上級者ほど脳内変換が少ない

 

楽譜や音符に慣れている演奏者は、先ほどもお話しした通り、一つ一つの音を追わず、ある程度の固まりでみます。

そしてなるべく先を早読みするようトレーニングし、プロともなると、なんと1ページほど先を見て弾く方もいます。

 

また、広範囲の音符の位置もある程度把握しているため、手が無意識にその位置に動くようになっています。

鳴るべき音も脳で予測して鳴っています。これは、ある種、演奏家の反射的行動、脳の動きであると言われています。

 

例えば、外国語で例えると、

本から英語を学ぶ初心者は Input 英語→(脳内で英語→日本語→英語)→ Output 英語 と、変換をしてしまいます。

ネイティブは当然 Input英語→(脳内も英語) → Output 英語 と一貫しています。そのスピード差は言うまでもありません。

 

音符についてもこれと似たようなことが起きているのではないでしょうか。

Input 楽譜ド → 脳内:これはドという音、で、どこの高さのドだろう?あ、真ん中だ→ Output  鍵盤を探し弾く

この感じだと1音1音の判断に時間がかかります。

これに対し熟練者は、Input楽譜 → 脳内:ド(鳴るべき音も同時に認識)→ Output ドの鍵盤を弾く

と、脳内変換が不要になっているのです。

 

もちろん初めからたくさんの音をいっぺんに変換できるようにはなりません。

最初5個の音符を理解したら、広がるスピードも上がっていきます。

まずは基準になる(ヒントとなる)音を見つけましょう。ドからソを理解したら、隣のラ、一個飛んだシもご近所さんです。

こうやって音の知り合いを増やしていくのが楽しく正確に覚えていくコツと考えています。

 

ーーー

 

ぼくがひいたおとをガクフにしてもいいんじゃないかい?

 

カール、すごいね。それもいい考え。でもカールはいっつも膝に乗ってくるから同じ場所ばかり弾きそうだけど。

先生がいろんな音を弾いて、それを楽譜に書いてみる、っていうのも聴音っていって素晴らしいトレーニングです。

一緒に耳も鍛えられちゃいます!

 

ほめられたー!ジャーキーちょうだい!

 

 

なるほど~、これなら面白いし僕にもできそうだな。脳にも効いてる感じがする。

 

 

脳科学者、川島教授がピアニストの脳波を測ったそうです。ピアニストが弾き慣れている曲の演奏を行う場合、前頭前野の右脳側が赤くなります。

一方、楽譜を見ながらでないと弾けない曲を演奏した場合、左脳と右脳が同じ赤色となり、脳全体が活性化しているという結果が出たそうです。

音符の変換をし、脳が活発になる=集中力や処理能力も上がる、ということですね。

それに加えて、ピアノの場合、メロディや曲が弾けるようになることで、聴覚も刺激を受けます。

 

ピアノを練習してから勉強したら難しい問題も解けちゃうかもよ、コハルちゃん!

 

知らなかった~!やってみようかな。

 

 

参考文献

・西洋音楽史 音楽様式の遺産 ドナルド・H・ヴァン・エス 著

・楽典 理論と実習 石桁 真礼生, 末吉 保雄, 丸田 昭三, 飯田 隆, 金光 威和雄, 飯沼 信義 著

・脳を育て、夢をかなえる 著者 川島隆太

 

参考Web

「楽譜が読める」とはなにか。科学的メカニズムを調べてみた。

https://note.com/our_evidence/n/n61d0a0f76c1d

ピアノって本当に脳にいいの? ピティナ調査・研究

https://research.piano.or.jp/series/piano_happen/brain/2019/09/taki02.html

執筆

ピアノ講師、ピアニスト、作曲家

東 真未

 

7才よりピアノを始める。洗足学園大学ピアノ学科卒業 。 ドビュッシー、サティ、バルトークなどの作曲家に影響を受け、幼少の頃より即興演奏に親しむ。 近現代の作品を多く演奏し、卒業後はピアノ講師として5才から80才まで幅広く講師を行う。 自身がリーダーを務めるグループにて即興音楽を行い、数多くのセッション、バンドにキーボード として参加。作曲、アレンジ、ライブ活動、劇団や創作童話への楽曲提供及び演奏を行っている。 世代を問わず、たくさんの方と本気で音楽を楽しむ!をモットーに講師や演奏ををおこなっており、今後のテーマはピアノを使った老化予防や効果的な練習法について、さらに取り組んでいきたい。

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