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これまで全くやったことのない新しいことをやりたいなあ。

家にはちょうど誰も弾かずに眠っている電子ピアノがありました。

僕でもピアノって弾けるのかな~

ドクターKは、老化と音楽に何か関係性があるのか?というテーマについて考えていました。

それはあるアメリカの映画がきっかけでした。「パーソナルソング」という、認知症の高齢者に音楽を聞かせて、心や記憶が蘇るのか、3年もの月日を追ったドキュメンタリーです。この映画の中に出てくる高齢者は、介護士とも全く話さず、暗い表情でしたが、思い出の音楽を聴いた瞬間、踊りだし、高らかに歌いだすという脅威の変貌ぶりをみせます。

この映画に感銘をうけたドクターK。音楽には老化への効果が絶対にある!と確信がむくむく…

これは自分で試してみようと思い立ちました。

たまたまのぞいた音楽教室に、講師のマミィがいました。

憧れの曲があって…いつか家族に聴かせたいと企んでいます!

ここから、ドクターKと講師マミィの音の冒険が始まります。

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登場人物:

講師:マミィ…ピアノ歴40年。即興で何か弾いたり曲を作るのが大好きなピアノの先生。

生徒:ドクターK…NOMON研究所の所長。最近音(ピアノ)に興味津々。疑問が湧くと確認しないと気が済まない。

コハル…小学3年生。ゲームとダンスが大好きな女の子。ピアノは練習が嫌い。最近作曲の宿題が出されてきてドキドキ。

犬:カール…シルバーのトイプードル♂4歳、やんちゃな子。ピアノの音が多分好き。マミィと一緒に暮らしている。

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ドクターKのピアノレッスンがはじまりました。

鍵盤中央にある「ド」はピアノを弾くときや、楽譜上で基準の音となります。

世界各地で言語に合わせてドレミの呼び名が違うんですよ。

実は「ドレミ」はイタリア語で、ラが始まりの音となっています。

イタリア語:・La Si Do Re Mi Fa Sol ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ

ドイツ語:a,h,c,d,e,f,g  アー、ハー、ツェー、デー、エー、エフ、ゲー

英語:A,B,C,D,E,F,G

日本:イ、ロ、ハ、ニ、ホ、へ、ト

 

なるほど~。でもどうしてピアノはドから教わるのに、音名はAからスタートなんだろう。ドを基準にすれば簡単なのに…

いい質問です!なぜそんなややこしいことになったのか。どうして音名のラが基準となるのか、考えてみましょう。

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◆楽器のチューニングのお話

オーケストラのコンサートに行ったことはありますか?

本編の曲が始まる前に、管楽器、弦楽器は「ある音」に合わせてチューニングをします。始まりを予感するこの瞬間は、聴くたびに鳥肌がたちます。まだ未経験でしたらぜひおすすめします!

その際に使われる、「ある音」が「ラ」の音です。比較的音が狂わないオーボエから始まり、他の弦菅楽器たちが順番に合わせていきます。

ラは周波数440㎐。1人でもずれた音があっては気持ちの良いハーモニーが生まれない為、チューニングすることがとても重要なのです。少し高い方が華やかさが出る、という理由により、高めの周波数442~446㎐に合わせるよう指示する指揮者もいるとのことです。

いずれにしても全員が同じピッチ(音程)を保つことが重要です。

クラシック以外でも、バンドのリハーサルの始まりには同じくチューニングが必要です。チューナーを使う方もいらっしゃいますが、大抵、ギターやベース、管楽器の方は、キーボードの私に「Aちょうだい」と希望されます。電子楽器であるキーボードは音が狂わないため、基準として合わせやすく、この「A」に合わせてメンバーがチューニングを合わせます。

またヴァイオリンなどと二重奏などで合わせる前には、簡単に調律を変えられないピアノの「A」に合わせていただきます。

どうやら「A」は、全ての楽器の基準の音とされているようです。

◆なぜチューニングの音が「A」なのか?

基準となる音がどうして「A」となったかについて。

そもそも弦楽器の構造上、他の音、例えばドの音では合わせにくい、ということもあります。弦を押さえずに鳴らすことができる開放弦である「A」を基準とする方が調整しやすいのです。

もう一つ、歴史上の理由もあります。

西洋音楽が生まれた古代ギリシャ時代(紀元前6世紀後半)にさか戻ります。ピタゴラスにより音程(平均律)が決定されました。当時の楽器リラ(琴の音色のような楕円の可愛らしい楽器)などの弦楽器で一番太く低い弦の音が「A」でした。そこを基準にルールが構築され、音名や音の並びが作られました。いわゆる音階の誕生です。

こういったルーツからAが楽器調整の基本の音となっていきました。

余談ですが、日本では西洋の音階や理論が明治時代に渡り、当初の音名には「い、ろ、は、に、ほ、へ、と」が用いられました。

ト音記号、ヘ音記号、イ長調などなど、音部記号や調整の表記にも使用されています。皆さんも聞いたことがあるのでは?

そしてその名称は日本の音楽教育で脈々と引き継がれ、現在も変わらず使われています。

戦後、文部省の決定を受けて音符の読み方はハニホからイタリア語のドレミを使うように変化したようです。そのため我々も当たり前にドレミを使うようになりました。

◆周波数440㎐は何の音?

440㎐はピアノの中央のラ(下から49番目)です。

ピアノの調律師が使っている音叉(おんさ)もこの440㎐です。ここから全てのバランスを調整していくのです。今では電子音のチューナーを使用される方が多いとのことですが、個人的にはだんだん音が消えていく音叉に味わいを感じます。

一般的なピアノはフルスケールで88鍵の鍵盤(7オクターブ)を持っています。通常オーケストラで使われる楽器の音域をカバーし、楽器の中でもNo.1と言われています。

では、ピアノは何㎐から何㎐まであるのでしょう。

一番低い音で27.5㎐、高い音では4186㎐!!とても広い音域です。ちなみに人の声に近いと言われるヴァイオリンの音域は196~2093Hzです。

<参考>

周波数が聞けるサイト : https://tomari.org/main/java/oto.html)

ピアノがソロ楽器として、さらにバッキングや伴奏も務めることができること。全ての楽器の要素を表現できる理由が、この音域の広さに隠されていると思います。

低音から高音まで、軽やかさや重さも含め様々な表現ができるスーパー楽器であることは間違いないでしょう。

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Aが始まりってことはなんとなくわかったけど、じゃあどうしてピアノのレッスンはドからはじめるの?

それはね、コハルちゃん、座った時にすぐ近くに鍵盤がある方が弾きやすいよね?

初めから黒い鍵盤や遠くの音が出てきたら、今度弾こうと思ってもすぐ探せないかもしれない。だから最初はまずお腹の近くのドからスタートするんだよ。

88鍵もある鍵盤の中央のド。ピアノ中央に座ると、おへそのあたりにあります。

この中央のドは、楽譜上でも覚えやすい位置に音符が記載されています(下楽譜参照)。童謡などでドから始まりドで終わる曲(例 :チューリップ、大きな栗の木の下で、など)が多いのは、#や♭がなくても完結するので、最初にピアノに向かう方には理解しやすいことが大きな理由です。ピアノが白と黒の鍵盤(白鍵と黒鍵)で構成されている楽器であり、徐々に♯や♭が増えていき、弾き続けることで黒鍵を使うことに慣れていき、ドを中心に音の世界がどんどん広がっていきます。ピアノの大きな特徴、魅力の一つと言えます。

<楽譜 きらきら星メロディ>

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今日はラの音が西洋音楽の原点であることをお話ししました。

私はドからシまで全ての音にそれぞれの色やイメージを持っています。

ちなみに今回のテーマ、ラ(A)は茶色系です(ものすごく個人の意見です)。

木や土のような穏やかでどっしりとしたイメージで、曲を作る際にも役立つ存在です。

他の音のイメージについては、また次の機会に。

今日はAの音をたくさん使ったピアノ曲を作ってみました。

みなさんにとって「A」はどんなイメージに聴こえるでしょうか。

みなさんのイメージのAはどうでしょうか。

Aはなんだかワクワクするおとかも!ウキウキ~

ごはんちょうだい!

♪Full of A

参考文献

・西洋音楽史 音楽様式の遺産 ドナルド・H・ヴァン・エス 著

・一冊でわかるピアノのすべて 青山一郎 著

・楽典 理論と実習 石桁 真礼生, 末吉 保雄, 丸田 昭三, 飯田 隆, 金光 威和雄, 飯沼 信義 著

参考Web

イロハはいつ頃ドレミになったか

https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000132468

古代ギリシャの音楽 ~「幻の規範」または学問としての音楽~ 石井 拓洋

http://www.iiitak.com/sound/no2_SoundDesign.pdf

執筆

ピアノ講師、ピアニスト、作曲家

東 真未

 

7才よりピアノを始める。洗足学園大学ピアノ学科卒業 。 ドビュッシー、サティ、バルトークなどの作曲家に影響を受け、幼少の頃より即興演奏に親しむ。 近現代の作品を多く演奏し、卒業後はピアノ講師として5才から80才まで幅広く講師を行う。 自身がリーダーを務めるグループにて即興音楽を行い、数多くのセッション、バンドにキーボード として参加。作曲、アレンジ、ライブ活動、劇団や創作童話への楽曲提供及び演奏を行っている。 世代を問わず、たくさんの方と本気で音楽を楽しむ!をモットーに講師や演奏ををおこなっており、今後のテーマはピアノを使った老化予防や効果的な練習法について、さらに取り組んでいきたい。

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