男性ホルモンのテストステロンは、性格や健康の維持に影響を与えて、記憶力が向上するなど、心身にとって大切な役目を担っています。
社会的地位が高い人は、テストステロンの値が高く、長生きする傾向があると考えられていますが、果たして本当なのでしょうか?
テストステロンと社会的地位、寿命、健康との関係性をみていきましょう。

男性ホルモン「テストステロン」とは?

コレステロールを材料に作られるテストステロンは、男性ホルモンの一つです。
全体の約95%を睾丸、残り5%を臓器の副腎で合成して、どのくらい分泌するのかは脳が調整しています。
男性ホルモンと呼ばれていますが、女性の体内でも副腎や卵巣で、約5〜10%作られているホルモンです。
男女に関わらず、人指し指よりも薬指が長い場合、テストステロンが多いという説もあります。

テストステロンは心身の病気リスクを下げる

数十年イギリスで公務員を調査すると、最下層にいる公務員はトップにいる人間に比べると、死亡率が4倍高まる結果が出ました。
仕事のストレスや加齢により、男性は40歳以降からテストステロンの分泌量が減るため、更年期症状など、心身に影響が出る場合も。
テストステロンの減少により、身体面では肥満や体の疲れが残りやすくなり、精神面では不安感や集中力が低下するなど、心身に支障をきたしやすくなります。
中年期以降ではテストステロンを意識して増やす生活習慣が、心身の健康リスクを下げることに繋がるのです。

社会的地位の高さは健康状態の良さに比例する

長生き

テストステロンは、「社会性」「冒険心」「競争心」といった男性的な性格を高める影響を与えます。
挑戦して成功を収めたときには、テストステロンの値が上がり、決断力がある人は値が高い傾向も。
海外で行われた野生動物ヒヒの群れとテストステロンの関係性の研究では、社会的地位の高いヒヒの方が、最下層のヒヒに比べて病気や傷の回復が早い傾向が見られました。
集団を引っ張るリーダーでは、テストステロンとグルココルチコイドの値が高いからではないかと考えられています。
2008年に行われたアメリカ大統領選挙では、民主党のオバマがリーダーに選ばれましたが、民主党と共和党の支持者でテストステロンの値を調べました。
すると、民主党の支持者のテストステロンは一定の値を維持したのに対して、共和党の男性支持者は、始めは熱狂で上がっていたテストステロンの値が、選挙落選後一気に下がったのです。
自分自身以外の場合でも、挑戦に失敗した失望感によりテストステロン低下の影響を受けるのはすごいですね。

芥川賞の受賞者は長寿?直木賞の受賞者は短命?

日本の芥川賞と直木賞の受賞者で、それぞれ社会的地位と寿命の関係を調べたユニークな研究を行いました。
結果、芥川受賞者は、受賞しなかった候補者よりも余命が1.7年延びました。
一方、直木賞を受賞した場合、余命が5.3年縮まる結果となったのです。
理由は、芥川賞で余命が伸びた人は新人賞をとった人であり、作家としてやっとまともな経済的基盤ができるという期待感があるからではないか?と考えられました。
直木賞の作家の場合、作家として地位がある中堅クラスの人たちが多く、経済的基盤があるため、メリットよりも仕事量が倍増するデメリットが多いのでは?と考えられています。
直木賞をとると、仕事量が調整しづらい環境やストレスが原因で、短命に繋がったのではないか?と考察されました。

社会的地位の高い人の寿命を調べてみた

過去を振り返ると社会的地位を獲得しつつ、長生きした偉人もたくさんいます。
有名な偉人を何人かみていきましょう。

・南光坊天海:107歳・・・明智光秀ではないかと言われた人物。徳川家康の相談役。
・渋沢栄一:91歳・・・銀行の父であり、2021年から使用されるお札の肖像画に使用。
・大隈重信:84歳・・・早稲田大学を創った人物です。総理大臣、外務大臣を歴任。
・井上馨:80歳・・・倒幕運動に参加した人物であり、鹿鳴館外交で有名。
・犬養毅:77歳・・・総理大臣を務めて、五・一五事件で暗殺。

当時の平均年齢からすると長寿の偉人です。
おそらく、健康にも関わるテストステロンの値が高かったのではないでしょうか?

テストステロンを高める方法

20歳頃を分泌量のピークに加齢やストレスなどで、少しずつ減っていくテストステロンを増やす方法はあるのでしょうか?
テストステロンの値を高めることで、ホルモンバランスが変化したことによる心身の不調を改善する効果が期待できるでしょう。
日常的にできる運動、食事などは健康にも関わる取り組みなので、ぜひ試してみてください。

㈰日光浴と適度な運動

日光浴でも作られるビタミンDは、テストステロンを作ることを助ける働きがあり、共に減少すると、死亡リスクを高める場合があります。
どちらもコレステロールから作られるため、過度なダイエットや偏った食生活は避けましょう。
散歩をすることで、日光を浴びることもできるため、休みの日は意識して外に出るとテストステロンを合成しやすくなります。
スクワットや筋トレ運動の場合は、適度に取り入れると良いでしょう。

大量にお酒を飲まない

大量のアルコールは、テストステロンの分泌を邪魔するため、ほどほどにするのが得策です。
また、深い眠りを妨げる寝酒をやめて7時間以上の睡眠をとることで、テストステロンの分泌が高まります。
ビールは糖質量も多いため、血糖値が上がるとテストステロンが減ることにも繋がりやすいでしょう。

亜鉛とミネラルなど栄養を意識した食事をとる

亜鉛は、卵や肉類などにあり、体を作るために必要なタンパク質も含みます。
牡蠣には、ミネラルと亜鉛の両方が含まれている栄養価の高い食べ物です。
ミネラルは、小魚や海草などにも多く含まれます。
また、質の良い脂質をとることは、コレステロールからテストステロンを合成するためにも大切です。
日頃から栄養を意識して、食事に取り入れると良いでしょう。

まとめ

男性ホルモンのテストステロンが、社会的地位や寿命の高さにも関わることをみてきました。
社会貢献や決断力、健康面の維持には、テストステロンの分泌量の高さも関係していると言えるでしょう。
絶対とは言えませんが、テストステロンの値から見た場合、社会的地位がある人の方が値が高く、長生きに繋がりやすいと考えられます。
年齢とともにテストステロンが減ると、心身の不調をきたす原因にもなることも。
日頃から食事に気を配り、適度な運動を心がける生活習慣で改善の効果が期待できるでしょう。

執筆

LIFE IS LONG JOURNAL編集部

 

LIFE IS LONG JOURNAL編集部。 ”LIFE IS LONG JOURNAL”は「人生100年時代」を迎え、すべての人が自分らしく充実した人生を歩んでいくための「健康寿命」を伸ばすために役立つ情報を発信するメディアです。

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