新しく学んだこと、やってみたいと思っていることを、いざ行動にうつそう!となると、気が重くなって、なかなか実行できない、なんてことありませんか?
やれば面白そうなのに、楽しそうなのに、もしくは、自分にとって大切なことなのに、実行に至らない。
気にかかっていながらも、ずるずると先延ばしにしてしまう……。
こんな不思議な現象が起こることがあります。
いったい何が行動のハードルを上げているのでしょう。
その秘密は、2つの障害にあります。

現実の障害

1つ目は、現実の障害です。
行動にうつそうとしたとき、予想外の考えてもみなかった問題にぶつかったり、お金や天候のような現実的な問題にぶつかって、行動できなくなってしまうことがあります。

例えば、運動を始めたい!と休日の朝にランニングを計画したとしましょう。
起きたら、雨が降っていて、行けなくなってしまった、という場合があてはまります。
そんなときには、想像力を働かせて、計画を練り直すことが役に立ちます。
計画を立てるときに、自分が実行しているときのことをシミュレーションして、障害を避ける方法を考えたり、工夫をするのです。
先ほどのランニングの例であれば、雨のときには、家の中でできる運動に切り替える、雨でも走れる場所を探しておくなどの対策が考えられます。

こころの中の障害

もう1つの障害は、こころの中の障害で、こちらの方が手ごわいものです。
目に見えない障害なので、気づくことも難しかったりします。

行動にうつそうとすると、中止する口実や延期するいいわけが出てきたり、さまざまな疑問が浮かんできたかもしれません。
「本当に役に立つかな?」、「楽しくないかもしれない」、「また今度にしようかな」などなど。
新しい一歩を踏み出そうとするときには、昔からの習慣や心配が邪魔をしてくることがあります。
どんなにやりたいと思っていても、必要だとわかっていても、変化を起こすのは難しく、私たちは足踏みしてしまうことがあります。

こころの中の障害とうまく付き合うには

この、こころの中の障害とうまく付き合うには、まずはじっくりと観察する必要があります。
新しいことを始めようとしたときの自分を思い出してみましょう。
スポーツの試合のハイライトのリプレイのように、ゆっくりと振り返りながら、その時、こころに浮かんでいたフレーズを思い出してみます。

「もしかしたらうまくいかないかも」
「これをやって本当に意味があるかな?」
「すぐに変わるわけでもないし……」

目に見えないままだと対策がとれませんが、こうして振り返って書き出していくと、次の手がみえてきます。

わたしがよく陥るこころの障害は、「時間がない」と「やるなら完璧にやりたい」という2つでした。
「時間がない」というのは一見、現実の障害のように見えますが、実はこころの中の障害であることが多いものです。
「まとまった時間がとれないとできない」とか「忙しいからまた今度」など。

自分のこころの障害に気づいてから、新しいことを始めるときには、短い時間でできることから計画を立てたり、「まずは5分だけ」など時間を区切ってちょっとだけやってみる、というやり方に変えてみました。
「やるなら完璧にやりたい」というのも、実は、自分で実行のハードルを上げる原因をつくってしまっていました。
うまくいってもいかなくても、とりあえずやってみる!と自分に言い聞かせたり、完成度60%でもいけるところまでいってみる、と決めたことで、取り掛かりやすくなりました。
こうして、こころの中の障害対策をとったことで、私にとって、新しいことを試すハードルがぐんと下がって、「あれ、できていないな」とモヤモヤ気になりつつ時間が過ぎていく……ということがなくなっていきました。

皆さんには、どんなこころの中の障害がありそうでしょうか?
まずは、書き出してみることから始めてみませんか。
やりたいことにすんなり取り掛かれると、達成感もありますし、スッキリした時間を過ごすことができます。
2つの障害対策を取り入れて、モヤモヤとさようならしましょう!

執筆

博士(心理学),臨床心理士,公認心理師

関屋 裕希(せきや ゆき)

 

1985年福岡県生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、筑波大学大学院人間総合科学研究科にて博士課程を修了。東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野に就職し、研究員として、労働者から小さい子をもつ母親、ベトナムの看護師まで、幅広い対象に合わせて、ストレスマネジメントプログラムの開発と効果検討研究に携わる。 現在は「デザイン×心理学」など、心理学の可能性を模索中。ここ数年の取組みの中心は、「ネガティブ感情を味方につける」、これから数年は「自分や他者を責める以外の方法でモチベートする」に取り組みたいと考えている。 中小企業から大手企業、自治体、学会でのシンポジウムなど、これまでの講演・研修、コンサルティングの実績は、10,000名以上。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。

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