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今年も年に1度、学生時代の友人と4人でやっている振り返り会が終わりました。

1人の持ち時間は60分で、この1年にどんなことが起きたのか、打ち込んでいたことは何か、キーパーソンだった人は誰かを紹介して、残りの3人が深掘りする質問を投げかけていきます。

そのあと、新しい1年に向けて相談したいことを伝えて、他の3人がアドバイスしたり、代わりに目標を立ててくれる、という流れです。

(以前、「思い込みから解放されるための他力本願」という記事の中でも、この振り返り会を紹介して、自分が知らず知らずのうちに身につけている先入観や固定観念から抜け出しやすくなる効果について解説しました。)

 

6回目になる今回は、初めて泊まりこみで開催。

言うなれば、合宿スタイルでしょうか。

初日は昼過ぎに集合して、前半は宿泊先のラウンジで、後半は部屋に移動して、160分かけて、それぞれの1年を振り返っていきました。

私にとっての2022年は、202110月に育児休暇から復職したこともあり、産後フルに子育てしながら働いた最初の1年でもありました。

自分にとって新しい研究テーマや、新しいトピックでの仕事の依頼なども多かったためか、会の準備のためにスケジュール帳を思い出していると、「え、これってまだ去年のこと?」、「こんなこともあったっけ(結構忘れてしまっている)」ということが多く、立ち止まって振り返る時間をもてたことが、これまで以上に有難く感じました。

泊まりでの開催だったこともあり、振り返ったあと、夜は美味しいものを食べに出かけて、部屋に戻ってまたゆっくりとしゃべったり、翌朝も朝食をのんびり食べたりと、4人での時間を過ごすことができました。

そんな1泊2日を経て、自分の中にスペースができて、そして、それによって新しい時間を過ごしていく準備が整ったように感じました。

私たちは毎日、たくさんの情報を受け取っています。

仕事をしていても、インターネットからも。

パソコンやスマホを開けば、そこにはたくさんの情報が押し寄せてきます。

日々過ごす中で、いろんな体験をして、いろんなことを考えて感じて、それが自分の中にどんどん溜まって蓄積していきます。

あふれてしまう前に、立ち止まって、外に出したり整理する時間が必要なのかもしれません。

毎年、振り返り会をするたびに、「よかった」と思う要素はさまざまですが、今年の自分にとっては、立ち止まって振り返って口に出して整理したことで、自分の中にスペースができたと感じられたことが何より意味がありました。

臨床心理学者のジェンドリンが開発した心理療法であるフォーカシングの最初のステップに「クリアリング・ア・スペース」というものがあります。

フォーカシングは、まだ言葉にならないような、身体で感じる感覚に注意を向けて、そこから言葉を出していく作業のこのことです。

フォーカシングを学ぶことによって、自分の気持ちをよりよく理解できるようになったり、何か決断をしないといけないときに納得のいく決断ができるようになるとされています。

その最初のステップにあるのが「クリアリング・ア・スペース」という自分の中にスペースをつくっていく作業です。

イメージの中で、気がかりなことを棚卸するように、ひとつずつ取り出して、並べていくというやり方をとります。

自分の中にモヤモヤが溜まっている中から、取り出していくことで、スペースが生まれていくのです。

 

毎日少しずつ降り積もっていく外からの情報、自分が考えたこと、感じたこと。

まだ言葉にならないままに、自分の中にあふれそうになっているとき。

少し立ち止まって、スペースづくりに時間を使うと、霧が晴れるように先を見通しやすくなったり、新しいものを吸収する準備が整うのかもしれません。

執筆

博士(心理学),臨床心理士,公認心理師

関屋 裕希(せきや ゆき)

 

1985年福岡県生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、筑波大学大学院人間総合科学研究科にて博士課程を修了。東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野に就職し、研究員として、労働者から小さい子をもつ母親、ベトナムの看護師まで、幅広い対象に合わせて、ストレスマネジメントプログラムの開発と効果検討研究に携わる。 現在は「デザイン×心理学」など、心理学の可能性を模索中。ここ数年の取組みの中心は、「ネガティブ感情を味方につける」、これから数年は「自分や他者を責める以外の方法でモチベートする」に取り組みたいと考えている。 中小企業から大手企業、自治体、学会でのシンポジウムなど、これまでの講演・研修、コンサルティングの実績は、10,000名以上。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。

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