近年、人間と共存関係にある腸内細菌が病気の予防だけでなく、人間の性格も左右することが分かり注目が集まっています。
腸は、免疫や腸内細菌がたくさん集まる場所で、共に協力して働いているのです。

腸内細菌は人間が食べた食物を代わりに代謝してくれるおかげで、体の栄養素にできます。
今回は、腸内細菌とは何か、また良い腸内細菌を増やすための食品などを紹介いたします。

腸内細菌とは?人間の腸に約1000兆個の細菌が住んでいる

人間の腸には、細菌が約1000種類、約1000兆個住んでいると言われており、腸内細菌と呼びます。
腸内細菌には、主に「人間の腸では消化できない食べ物を栄養素に変える働き」「免疫細胞と協力して、異物(病原菌など)から体を守る働き」「腸内を良い環境に保つことで体の健康も維持する働き」の3つの役割があり、人間に共存することで、お互いに利益を与えているのです。

腸内細菌がいなければ、私たちは食べ物を口にしても、栄養を上手く吸収・消化できないでしょう。
主に小腸から大腸にかけて住み、おおまかに善玉菌(ビフィズス菌、アシドフィルス菌ほか)、悪玉菌(ウェルシュ菌ほか)、日和見菌(善玉と悪玉が優勢な方に援助をする菌)の3種類に分けられています。近年では、腸内細菌が免疫にも影響を与えることが分かってきました。

免疫とは何か?病原菌など異物から体を守る番人の役割

免疫は、体内に侵入した異物や病原菌(細菌やウイルス)を殺す役割を担っており、免疫があるおかげで、私たちは日々病気を間逃れているのです。
腸には、免疫の約60%以上が集まる場所と言われています。

免疫は主に2つに分けられて、一つ目は「自然免疫」、二つ目は「獲得免疫」と呼ばれており、自然免疫は「好中球(白血球の仲間)」「マクロファージ」など、獲得免疫は「ヘルパーT細胞」「B細胞」などがあり、それぞれに役割があるのです。
例えば、風邪を引くと高熱が出るのは、ウイルスや細菌が熱に弱い性質があるため、免疫細胞が活性化して排除しやすくするための仕組みといえます。

他にも、腸内細菌がつくる多糖体と呼ばれる成分は、R-1乳酸菌に多く含まれており、ガン細胞を破壊するNK細胞を活性化させる働きや、ウイルスに対抗する力である樹状細胞が活性化する働きがあることも分かりました。
腸内細菌と協力して、侵入した病原菌から身を守ってくれているのですね。

腸内細菌は人間の性格や行動まで操る?

スウェーデンのカロリンスカ研究所のチームが行った研究では、腸内細菌を持たないマウスは、腸内細菌を持つマウスよりも警戒心が薄く、危険で大胆な非社会的な行動を取ることが増えて、他のマウスとの関わりも減ることが分かっています。
また、米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームが発表した報告によると、女性40人の排泄物から腸内細菌を採取した結果、「プレボテラ属」と呼ばれる細菌が体内に多い人は、ネガティブな画像を見せられたときに、不安などのネガティブな感情を抱きやすいことが判明しました。

反対に、「バクテロイデス属」の細菌が体内に多い被験者の33名は、ネガティブな画像を見せられたときに、不安などのネガティブな感情を抱く人が少ない結果になりました。

「プレボテラ属」と「バクテロイデス属」の多さが違う両者では、脳が活動する領域が異なり、以上のことから腸内細菌が人間の感情に関わり、結果的に性格や行動まで変えてしまうのではないかと言われている理由です。

良い腸内細菌を育てよう!腸が喜ぶおすすめの食べ物

腸には、良い働きをする善玉菌を増やすことが免疫力のアップにも繋がり、結果的に体の健康にも繋がります。
悪い腸内細菌が増えてしまうと、ネガティブな感情を抱きやすくなるなど、心身ともに悪い影響を与えることも。
以下では、腸内細菌が喜ぶ食品である、「発酵食品」と「食物繊維」の2つについてみていきましょう。

発酵食品

発酵食品は、身近な食べ物に多く、例えば、ヨーグルトや味噌、納豆、チーズなどに含まれており、食品の中には乳酸菌やビフィズス菌などのいわゆる善玉菌と呼ばれる良い細菌を一緒に摂取できます。
適度に意識して食べることで、腸内環境を整える働きが期待できるでしょう。

食物繊維

善玉菌が生きるためのエサになる一つが、食物繊維です。
食物繊維は2つあり、水に溶けて便をやわらかくする「水溶性食物繊維」、水には溶けず便のかさ増しをする「不溶性食物繊維」に分けられています。
例えば、水溶性食物繊維は、ごぼう、納豆、こんにゃく、きのこ類、果物などに多く含まれています。
また、ごぼうには腸内細菌が喜ぶオリゴ糖も含まれており、善玉菌を増やす効果が期待できるでしょう。]

食物繊維を手軽に摂取できるオススメの製品

水溶性食物繊維を手軽に摂取する方法として、帝人株式会社から販売されているイヌリアがあります。

「イヌリア®」はオランダ、ベルギー、ドイツで栽培されたキク科の植物チコリの根から抽出されて作られます。水に溶けやすい性質から飲料および食品へ使用しやすく、日本人が不足していると言われる食物繊維を手軽に摂取することが可能です。

イヌリア

また、同じく帝人株式会社から販売されている、スーパー大麦「バーリーマックス」もオススメです。

バーリーマックスは、オーストラリア連邦科学産業研究機構が開発した非遺伝子組み換え大麦で、一般の大麦に比べて2倍の総食物繊維量と、4倍のレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)を含むスーパーフードです。

3つの食物繊維などの成分(フルクタン、β‐グルカン、レジスタントスターチ)が、腸内での発酵速度の違いによって、段階的に腸の入り口から腸内細菌が多く棲む「腸の奥」まで届きます。

photo by:https://www.teijin.co.jp/focus/barleymax/info/

食品添加物で良い腸内細菌がいなくなる?

食事

食品の美味しさを高めることや、食品が腐らないために添加されている、着色料や保存料、人工甘味料が、腸内細菌などに悪い影響を与えることが分かりました。
例えば、アスパルテームは食品や飲料に甘みをつけるために利用されていますが、実験でマウスにアスパルテームを与えたところ、血糖値の上昇が見られました。
他にも、アセスルファムKを動物に与えた実験では、リンパ球が減ることが分かっています。
リンパ球が減ると、体内の免疫力が下がるため、腸内細菌にも悪い影響があると言われています。
また、人工甘味料のスクラロースをマウスに与えたところ、善玉菌が減ったという報告もあります。
特に人工甘味料は、カロリーオフや糖質ゼロ商品に多いので、商品を購入する際は気をつけて意識してみると良いかもしれません。

まとめ

病気だけでなく、人間の性格まで影響を与える腸内細菌とは何か、また善玉菌を増やすおすすめの食品などをみてきました。
悪玉菌が増えることで、ネガティブな感情を抱きやすくなることが研究で分かっています。
日頃から善玉菌を増やす食品を意識することで、免疫力を高める働きが期待できるので、流行りのウイルスへの予防効果も期待できるでしょう。
まだまだ不明なことが多い腸内細菌に、今後も注目していき、どんな影響を与えているのかが更に解明される日を待ちたいと思います。

<参考記事>

性格は「腸内細菌」によって決まる

腸内細菌で高める免疫パワー最前線

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