株式会社アクセレール代表取締役社長であり、またミシュランガイドで1つ星の評価を獲得した「KEISUKE MATSUSHIMA」料理人である、松嶋啓介さん。NOMON代表取締役CEOである山名慶とのFaceBook上での対談を書き起こしました。
※対談日時 2020年5月16日
松嶋啓介さんの著書 最強「塩なし」料理理論 の発売を記念した対談となっております。
良いとこどりしてしまいがちな現代社会について
ケシの実じゃないですか?
ですよね。ただ、実は、ダメじゃないですか。だめっていうか全部いいとこだけ取ってるじゃないですか。
いいとこだけなんか取っていくと、「全部頂きましょうよ」っていう文化が衰退していって何か(大切な事に)気が付かなくなっていくのかなぁってと思ってるんですよね。薬に対してもそうですし。
やっぱり薬っていうのは、普通の食事じゃ戻せないくらい下に行っちゃったものを戻すっていうものだと思うんですね。
今回の対談の趣旨である最強塩なし料理理論
めっちゃダメな人を戻すための最強塩なしなんですよ。
だから普段気を付けている人は全然塩食ってりゃいいじゃんと思うわけですよ。運動してれば。
今、社会では圧倒的に高血圧の人が多くて塩分過多な社会状況になっているから
薬でね、高血圧をちらすのもいいんだけど、そもそも食事が原因なんだからそれを改善したほうがいいですよっていう僕の(本の)メッセージです。
なるほど。高血圧とかはいいと思うけど…
あの本が薬です。
そうですよね。薬の代わりになるアプローチもある。生活習慣病はそれでいけますよ、ほとんど。でもみんなできない。
生活習慣病がいけるってなったら、コロナはおいといて、どんな病気が残りますかって話ですよ。
認知症とか、入ってますね。認知症もちゃんと食事を管理すればかなり予防できると言われてますけどね。
みんなそもそも健康に一番いいのはエビデンスレベルだと運動とちゃんとお腹空かせましょうなんですけど、ちゃんとできないんですよね。
啓介さんの言うとおりのところは歴史も証明しているなと思うのは、脚気って病気は江戸時代に人がバタバタ死んでたじゃないですか。あれだって米削りすぎだよと。
*脚気(かっけ)・・・ビタミンB1の欠乏のために、末梢(まっしょう)神経がおかされ、足がしびれたりむくんだりする症状。(wikipediaより)
だからいいとこだけ食べるとやっぱり問題が起きるわけですよ。
これはもう薬だけの話じゃないんですけど手っ取り早いのを求めてるかと言うか。
やっぱり人間って新しいこと好きなんでどんどん新しいことしたいと、この食べることも誰かにやってもらおうみたいな。
農業革命の時代からそうだと思うんですよ。小麦ばっか食うなよ、みたいな話なんですけど。
本質的にそういう生き物だから逆にいうと意識していろいろなものを食べるとか運動するとか、ストイックな人以外は必要なのかなと思いますね。意識することは。
やっぱり食事っていうのは大きな可能性っていうか、食事自体がいろんなものを改善できればと思います。
認知症予防の食生活について
認知症を防ごうと思ったら時間をかけてゆっくり食べなきゃいけないわけじゃないですか。脳を動かさないと行けないから。咀嚼をしっかりして。
時間を短縮していくと、結論、消化不足になったり、悪いものがたまりやすいい体になっちゃうわけです。
僕もやっぱりポテトチップとか好きだし、味の濃い物とかも食べたくなりますけど、やっぱり本来は啓介さんの教えてもらったような塩なしのものとか食べたら体の調子いいのは分かってるんですけど、目の前に簡単なものがあってその瞬間にいいなってなるものにみんな行きがちですよね。
子供の頃からいろんな競争とか、スケジュールがある程度決まっていて、食べる時間とか削ろうや、睡眠時間削ろうって思いがちですよね。すると、(体調は)悪いほうに行っちゃいますよね。
そこまで酷使して、人生で何を得ようとしているのかって、わけですよ。
満員電車のストレスについて
いまみんな家にいて(対談時は、新型コロナウィルスにより、緊急事態宣言が発令中)ちょっとずつ解除で仕事、職場に戻っているけど、あの満員電車の中で「何を思っていますか?」って問いたいよね。
ほんとね、東京まだ復活してないんですけど、もう(満員電車の生活が)戻らなくていいぞ!みたいなとこもありますよね。
その満員電車の時の心の声を数値化とかしてみたいんですよね。
やってみたいですね~。たしかに。
めちゃくちゃ面白いと思いますよ。
コロナが教えてくれてますよね。日常を改めて振り返る時間を与えてもらったというか。
今多くの人はなんとなくそれがいいって理解はしてても、実際やるための時間がなかったっていうことなんですよね。
幸い今回時間ができて、実際今まで頭で理解していたそうしたほうがいいっていう生活スタイルが強制的にできるようになったわけじゃないですか。
今感じている感覚を言語化、または自分の体にどう刻むかってことをやっていなかったら、人間って、すぐ楽を求めちゃうわけじゃないですか。
人を良くする食事をちゃんと取ってれば病気になんかならないって思うかもしれないですけど、(生活が)忙しくなって、ちょっと病気になって楽に解決しようと思って薬に走っちゃうわけですよね。
ままあ最近啓介さんにもレシピ教えてもらった、時間かかるけど手間はかかんない料理ってあるじゃないですか。火にかけておいて、、そこそこまとめて作って明日食べるとか。
今は、コンビニ売れてないらしいので。スーパーでみんなまとめ買いしてるじゃないですか。
では、家庭で料理を作ってるはず。そういう回転に入ってしまえばいいだろうなとは思いますね。
薬で治療した後の行動について
例えばですけど、お薬も、治療っていうことを考えたら薬を飲んで治ったって状態になるじゃないですか。
治った後の行動、行動変容ってどういうものになるものなんですか。治ったからって、例えば糖尿病の人が糖尿病のための薬を飲んで治りましたと。
で、治ったからまた甘いものを食べようってなるのかどうか、それをどうストップするかっていうのが多分必要かなと思うんですよね。
啓介さん、それ順番が逆です。糖尿の人がいたら怒られますけど大半の糖尿病の人っていうのは基本的にあんまり炭水化物を食べないで俗にいう●●ダイエットみたいなのをすれば薬無しでコントロールできることが分かってるんです。そもそも、薬を飲み続けないと糖尿病の人はコントールできないんですよ。糖尿病の人は逆に言うと糖尿病は治ることはないんです。血糖値が上がる生活を変えられないから。
意識として広がってないのはなんでだと思います?逆に。
そういうものに触れる機会がないと思うんですよね。学校でこういうことを習わないじゃないですか。世界中見ても医学と栄養学をちゃんとマッチさせてる教育機関ってあまり、ないんですよね。
素材の味を逃さない方法
何もやらないことが実は一番素材の味を逃がさずに一番おいしいっていうね。もうね、less is more 状態なわけですよ。
塩を野菜を、七草を別茹でしないで米と一緒に炊いてほっとくやつがおいしくて別茹でして後から入れる普通にやられてるのはおいしくなかったんです。
無駄に常識的に言われてる作業をした結果、おいしくないと。調味料っていうのは本当になくて、ミニマムでそれがどこにどう味が隠れてるかっていうことを分かれば、七草で炊いたらほんとにおいしいんですよね。
おいしかったですよねー。
低温で火を入れるってことと、無駄な作業を逆にやめる。だからミニマムになってるんですよ。
そうなんですよねー。ただ調味料って魅力的じゃないですか。適当にやっててもドレッシングわーっとかけとけばおしいし、みたいな。でも毎日調味料かけたらえらいことになる、悪いことが起きてるよってことは誰も教えてくれないんですよね。その、野菜茹でて、水にさらしたら栄養素全部流れていってるよ、とか味も抜けてるよ、とか。習わない、というか考えないのかもしれないな、って。
野菜なんかね、沸騰したお湯でゆでて氷水で落として色飛ばさないって言ってるけど味全部流出してますからね。とはいえ、人ってやっぱり弱いからサプリであったり、今作られているような薬みたいなもの、極端に急激にぽっと変えるきっかけとしてはそういった楽なものもやっぱり必要だとは思うんですよ。それで一回改善できた後の導き方っていうのが非常に重要じゃないかなって思います。
今回の薬味をどう定期的に摂るとかと話と同じになると思うんですけど、コロナによって一回ストップして立ち止まってる人たちって、このまま戻ってくる社会は多分そのまま受け入れるか、ほんと前の感覚はイヤだったからこの方が健全だと思って維持させるか、そのはざまっていうのは、薬を飲み終わって治った人と全く同じかな、と思うんですよ。
たぶん、今やられているような予防につながっていくようなこともこのお薬から意識改革をさせようとしていることと多分なんかニュアンスは似てると思うんですよ。
そこは山名さん、何したらいいでしょうね。
やっぱりムーヴメントを作ればいいんだって思ってるんですよ。いろんな食品会社の人とも情報発信したりとか考えていて、コロナに関してもそうやって提言の募集とかもしてるので。僕らが今サイエンティストの仲間と考えているのはおばあちゃんの知恵袋は今のサイエンスで見たらこうなんだよ、って、だから大丈夫だよ。じゃあやろうかみたいな人が今より増えるんじゃないかなっていう気はするんですね。
だから、両面、サイエンスでサポートする部分と広げる部分と両方あるなと思ってます。
突然ですけど、モルヒネって原料なんでしたっけ?