この2年あまりの間に、すっかり定着したもののひとつがweb会議ではないでしょうか。
テレワーク下のチームでのミーティングも、すっかりオンラインでやるのが当たり前になってきています。
複数の調査結果を参照しながら、テレワーク下のチームに起こりやすいことを私なりにまとめてみました。
図.テレワーク下のチームで起こりやすいこと
まず、チームレベルでは、全員が同じ場所で働いていたときとはコミュニケーションの質量が変化しています。
よく挙げられるのは、「画面越しだと、相手の気持ちや場の雰囲気が読みづらい」、「そのことが発言しづらさにつながっている」というものです。
一体感やチームへの帰属意識を持ちにくくなるという面もあります。
チームの中を見渡してみると、どうでしょうか。
メンバー間では、様々なズレが生じやすくなります。
上司は「部下の生産性が下がっているのではないか」と心配しているのに対して、部下側は、「テレワークだと残業申請がしづらい」と感じていたりして、働き方や生産性についての認識のズレが生じているかもしれません。
上司-部下以外でも、会社に出社している人とテレワークしている人との間でのズレもあります。
同じ会議に参加していても、出社している人同士は身振り手振りやアイコンタクトで認識合わせができているのに、テレワークで参加している人は少し取り残されてしまうような時があります。
実際に、会議の内容についても「コンセンサスを得たつもりが勘違いや齟齬が生じていて手戻りが増えた」という声もあります。
また、テレワークやハイブリッド型の働き方に、もう適応できた!という人と、まだまだ適応しきれていない、という人の間にもズレが生じやすくなります。
個人では、職場全体の状況が見えづらいので不安になりやすくなりますし、働き方の違いによる不公平感や不満もあります。
それらを放っておくと、個人の中での不安や不満が膨らんで、実際より物事を悪く捉えやすくなり、疑心暗鬼状態になってしまうこともあります。
もちろんテレワークという働き方やオンラインという手段の良いところもたくさんあります。
私自身も、1歳の娘がいながら仕事ができているのはテレワークのおかげだと実感していますし、オンラインで研修を提供するようになってから、チャットなどを活用しながら参加者全員の意見やアイディアを聞くことができるようになって、新しい参加型の研修の可能性を感じています。
このテレワークやオンラインの良さを活かしながら、けれど、チームが不安や不満状態に陥ることなく仕事をしていくにはどうしたらいいのか。
ここにはやはり、オフラインの時とは違う工夫や、少し戦略的に機会を設けていくことが必要です。
今回はチームミーティングにフォーカスをあてて、すぐに取り入れられる工夫を紹介したいと思います。
テレワーク下のチームミーティングは時間よりも頻度が大事かもしれない、という知見があります(図)。
図. チームミーティングの頻度と上司の支援・心理的ストレス反応
週2~3回以上ミーティングを実施しているチーム(青)では、週1回程度(オレンジ)や月1回程度(グレー)のチームと比べて、チームメンバーが上司から支援されていると感じ、心理的ストレス反応も低くなる可能性が示されています。
テレワーク導入前は、週に1回、1時間のミーティングをしていた、というチームも、テレワークやハイブリッド型の働き方では、月水金の週3回、1回20分の短時間のミーティングをするほうが良いかもしれません。
こういった調査結果が出ていることの理由は、「ちょっとした相談機会」を損なわずに済むためではないか、と推察しています。
全員がオフィスにいた頃は、仕事で少し相談したいことがあるとき、「ちょっとすいません」と先輩や同僚に声をかけて、ものの1分ほどで解決していたのが、テレワーク下では、チャットやメールで、「お時間空いてるときありますか?」から始めなければいけなかったり、コミュニケーションコストがぐぐっと上がってしまいます。
ともすると、「まぁ、いっか」と確認しないまま仕事を進めてしまうかもしれません。
けれど、週3回短時間でもミーティングの機会があれば、「よし、今日の午後聞こう!」と機会を失わずに済みます。
相談する機会が保たれることで、上司の支援を受けられ、心理的ストレス反応も軽減するのです。
テレワーク下のチームミーティングは、時間より頻度!
試してみてくださいね。
【参考文献】
・E-COCO-J調査. 今村幸太郎、佐々木那津、竹野 肇. テレワーク利用中の労働者の精神健康および仕事のパフォーマンスを予測する職場の心理社会的要因:4時点縦断調査.
・令和2年度 厚生労働行政推進調査事業費厚生労働科学特別研究事業テレワーク等新しい働き方に対応したストレスおよびメンタルヘルス対策への提言と好事例集の作成(20CA2044)分担研究報告書, 2021.