話しかけても素っ気ない返事。
ちらりと様子をうかがうと、仏頂面で仕事をしている。
不機嫌な人が近くにいると、気になってしまうものです。
普段から接する相手はもちろんのこと、電車の中やレストランで不機嫌オーラを発している人が気になる、なんて場合もあるかもしれません。
不機嫌とは「イライラや不満が漏れ出ている状態」ということができます。
イライラしたときに、大声で怒鳴る人もいれば、舌打ちやため息、乱暴にドアや引き出しを閉めるなど、さまざまな表現方法があります。
それを見た人が、「あの人、不機嫌そうだな」と思うわけです。
不機嫌の原因はたくさんありますが、「不快」がその代表です。
暑さ、湿度の高さ、睡眠不足で眠い、空腹、騒音。
こういった環境や生理的なことも関係しています。
あとは、「余裕のなさ」も不機嫌スイッチをオンにしやすいものです。
時間がなくて、仕事が思うように進まない。
締め切りが近づいているのに、いいアイディアが浮かばない。
こうして見てみると、どうでしょう。
コントロールするのが難しいことが多いと思いませんか。
自分のことならばまだしも、他の人のこととなると、お手上げです。
不機嫌はその人のもの、ともいえます。
私たちが手出しできない範囲のこと、と割り切ることもひとつです。
ただ、同じチームに不機嫌な人がいて、放っておくというのも忍びないものです。
ヒントのひとつとして、自我消耗(Ego depletion)という現象を紹介します。
人間が我慢や自制をするときには、認知資源(注意力や集中力を働かせるなどの脳の活動のためのリソース)を消費するため、あるひとつの領域で我慢や自制をしていると、認知資源が消耗され、他の領域での自制が難しくなり、冒頭で触れた「イライラや不満が漏れ出ている状態」につながるのです。
「一人でなんとかしなくてはいけない」
「不満があっても飲み込むべきだ」
「自分の希望や願望は言わないようにしなければ」
不機嫌の裏では、こんな目に見えない我慢や自制が働いているかもしれません。
それに対して、「いいんだよ」と言うことはできます。
もしかしたら、自分自身に対しても、同じことが言えるかもしれません。
まもなく、日本の梅雨がやってきます。
誰が悪いといった話ではなく、不快になるのも自然なこと、と思えるような湿度の高さです。
「いいんだよ」
我慢や自制の呪縛をといて、備えておくのもよさそうです。
【参考文献】