断食は、別名でファスティングとも呼ばれており、ダイエットに限らず健康面でも良い効果が期待できることが分かっています。
体内の古い細胞が新しく入れ替わることで、免疫が刺激されるためです。
例えば、「時間制限法」と「5:2断食」など、完全に断食しないプチ断食という方法も流行っています。
今回は、断食の詳細やプチ断食のやり方など、断食と健康との関わりを知り、日常生活に応用してみましょう。

断食とは何か?紀元前から存在した宗教での修行が始まり

修行

断食の歴史は古く、紀元前から始まり、宗教の信仰で精神面を統一するというテーマで修行が行われてきました。
キリスト教、仏教、イスラム教など、さまざまな宗教に断食が関わるのです。

例えば、断食行事で有名な「ラマダン(ラマダーン)」は、日頃の欲望を捨てて神への信仰心を改めて伝えるために、イスラム教の人々が毎年特定の時期に約1ヶ月間、太陽が出ている時間帯のみ、全ての飲食を禁じる断食をします。

断食の起源は人間の精神を統一して、改めて日頃の感謝を振り返るなどの祈りが始まりでした。

断食は健康にも良い影響がある?免疫力を鍛える効果が期待

2014年、南カリフォルニア大学(USC)のロンゴ教授らの研究チームが発表した論文では、3日間断食をすることで、体内の古い免疫細胞(白血球)が入れ替わり、新しい細胞が作られることが分かりました。3日間の断食での良い変化は、血圧を低くさせることや、炎症を改善する効果などが見られたのです。

また、断食によりPKA(プロテインキナーゼA)という老化・腫瘍にも関わる酵素が減少することが分かりました。
白血球は、体内に入ってきたウィルスなどの異物を排除する大切な役割があり、免疫力に関わる重要な細胞の一つです。
また、アメリカのマサチューセッツ工科大学がマウスを使った研究では、年齢と共に働きが衰える腸の幹細胞が、24時間の断食で再生する力が約2倍になることを発見しました。
肝細胞は、腸の内側の壁を保つ働きがあるため、胃腸の病気回復の助けになると考えられています。

古い細胞が入れ替わることをAutophagy(オートファジー)と言いますが、体内に栄養が満ちている状態では行われないため、断食するとオートファジーが可能になります。
断食では、体内の細胞を活性化するため、免疫力を鍛える効果が期待できるのです。
以下でも紹介しますが、最近では、ダイエットをする人たちの間でプチ断食が流行っており、3日間一切食事をしない方法でなくても、簡単に断食に取り組めますよ。

<参考>

cell.2014.04

Prolonged Fasting Reduces IGF-1/PKA to Promote Hematopoietic-Stem-Cell-Based Regeneration and Reverse Immunosuppression

断食するとエネルギー源が糖から脂肪に切り替わる

人間の体内では、糖のエネルギーが不足した飢餓状態になると、脂肪を利用しエネルギーに切り替わる仕組みが備わっています。
体内で糖=グルコースが枯渇すると、肝臓でケトン体と呼ばれるエネルギーに代わる物質が作られるのです。
ケトン体の材料は、脂肪細胞を分解して血液の中に流された脂肪酸を材料に作られています。
人間は活動するため、特に脳は大量のエネルギーを送ることが必要不可欠で、断食はこの仕組みを上手く利用した方法と言えるでしょう。

断食の方法とは?おすすめのプチ断食

2019年、国立衛生研究所(NIH)の博士らが発表した論文には、3日間の断食をしなくてもできる、プチ断食の「時間制限法」と「5:2断食」をおすすめしており、以下で詳細を紹介します。

<参考>

New England Journal of MEDICINE.December 26, 2019

Effects of Intermittent Fasting on Health, Aging, and Disease

共通することは、水分が自由に取れることで、ジュースやスムージーなど、糖質やカロリーの高いの飲み物以外は、基本的に飲んでもOKです。
近年、プチ断食が健康にも良い影響を与えることが分かったので、以下で具体的な方法を見て試してみてはいかがでしょうか?

※女性では、妊婦や授乳中の方、持病がある方は取り組まないでください。また、実践中に心身に異常を感じた場合は中止して、医師に相談しましょう。

時間制限法

「一日○時間以内しか食事をしない」と決めて行うダイエット方法です。
日本では、8時間ダイエットと呼ばれることもありますが、時間は自分で好きに決めてください。おすすめは、8時間以内に食事を完結させることです。時間さえ守れば、カロリーの制限は特にありません。

だいたい10〜12時間の内に食事時間を完結させることで、総カロリー量を約20%抑えられます。
例えば、休みの日に朝食を抜いて、正午0時〜8時の間に食事を済ませた場合、8時間以内に収まります。
この方法なら、食事をしない時間が14時間作れるので、プチ断食を体験できますし、苦痛を感じることも少なく済みます。
胃腸は、常に動かしていると疲労が溜まりやすくなるため、休ませる時間が必要です。

5:2断食

一週間に2日間、断食の日を設けるダイエット方法です。2日間は、食事の総摂取カロリーを4分の1程度、約500〜700カロリーまでにします。
高タンパク、低糖質(血糖値が急上昇しにくい炭水化物)の食事を心がけましょう。タンパク質は、卵、鶏むね肉、ささみ、ブロッコリーなどから取るのがおすすめです。野菜では、じゃがいもやカボチャなどはカロリーが高いものは控えましょう。

断食中は、水分を積極的に取るようにしましょう。お茶、コーヒー、ハーブティーなどは飲めますよ。
ルールとしては、断食をする間隔を3日間は空けてください。
5:2断食は、海外のお金持ちであるミランダ・カーなども取り組みました。
時間を決めて制限しておくことで、就寝前や深夜に余分なおやつを取ることを控えることにも繋がるでしょう。

まとめ

断食の詳細や流行のプチ断食で「時間制限法」と「5:2断食」のやり方などをご紹介しました。
断食をすることで、余分な体重を落とすだけでなく、免疫力をあげる効果が期待できるなど、健康面でもおすすめできます。

<参考記事>

Wired.2014.06

断食の効用:免疫系を再生させる科学的確証

執筆

LIFE IS LONG JOURNAL編集部

 

LIFE IS LONG JOURNAL編集部。 ”LIFE IS LONG JOURNAL”は「人生100年時代」を迎え、すべての人が自分らしく充実した人生を歩んでいくための「健康寿命」を伸ばすために役立つ情報を発信するメディアです。

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