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最近、腸内フローラの状態が、コロナウイルスの重症度と相関がある、という研究が報告されました。腸内フローラはお腹の中の話ですが、呼吸器に感染するコロナウイルスと関係があるのだろうか?と思われる方もいるのでは無いでしょうか?

実際に、コロナウイルス患者の半数が、下痢やその他の消化器症状を示しています。研究でも、腸内フローラの状態と免疫の状態の相関が示されています。腸内フローラを健康に保ち、免疫力を上げるための方法を見てみましょう。

<参考> Psychology Today, 1 May 2020
Can Gut Microbes Predict COVID-19 Severity?

Med Rxiv ,22 April 2020

Gut microbiota may underlie the predisposition of healthy individuals to COVID-19

腸内フローラって何?

腸

そもそも、腸内フローラって何でしょう?

実は、腸の中にはたくさんの微生物が住んでいます。その種類は1000種類。数にして100兆個の細菌が住んでいます。人間の細胞の数は37兆個と言われており、それ以上の数になります。重さにして1~2kg。大きなペットボトル1本分の重さになります。

それが、長さ約9mの腸の中に入っているのです。腸の内側はひだ状になっていて、広げるとテニスコート1面分の広さがあります。その広い面積で、微生物と身体が接触しているのです。

その様子を電子顕微鏡で見ると、お花畑(フローラ)のように広がっている。それで、腸内フローラと呼ばれています。またその重要性から「もうひとつの臓器」とも呼ばれています。

腸内フローラにも年齢がある

腸内フローラは、ただ微生物が寄生しているだけではありません。人間にとって有用な善玉菌と、有害な悪玉菌、その中間の日和見菌の3種がなわばり争いをしています。乳酸菌に代表される善玉菌は、人間が消化・吸収できない繊維室を分解し、エネルギー源としてくれます。

また、乳酸などを産生して腸内の環境を酸性に保つことで、悪玉菌が勢力を増さないように抑え込んでくれています。善玉菌と悪玉菌と日和見菌。この3種のバランスが大切なのです。

腸内フローラはまた、年齢によっても変化します。赤ちゃんが生まれた時は無菌状態ですが、生後しばらくして善玉菌のビフィズス菌が増加します。成年期は安定化しますが、高齢になるとビフィズス菌が減少し、代わりにウェルシュ菌などの悪玉菌が増加してくることが分かっています。

<参考> Mykinsoラボ, 2016年7月26日
加齢による腸内細菌叢(腸内フローラ)の変遷

腸と免疫の関係

腸は、免疫とも関わりがあります。それどころか、身体全体の免疫細胞の70%は、腸にあるのです。

腸は模式図で描くと、ちくわのような状態になっています。ちくわの外側が皮膚で、ちくわの穴の表面が腸にあたります。身体の中にありますが、腸の表面で、食べ物という外界からの異物と接しているのです。「内なる外」とも呼ばれています。

風邪をひくと、鼻は鼻水が出て、喉は咳をしますよね。身体の防御反応の一つです。外界と絶えず接している腸にも、免疫機能が備わっています。

腸にはパイエル板というリンパ組織があり、微生物を敢えて中に取り込んで、攻撃すべき敵の情報を免疫細胞に学習させています。微生物が好ましくないところで増殖した際に、身体の免疫細胞が攻撃して排除する仕組みになっています。

その一方、同じ外部から来るものでも、身体に必要な栄養素は区別して吸収できます。経口免疫寛容と呼ばれる機能です。このように、腸では高度な免疫システムが働いているのです。

この免疫システムに、腸内フローラも関わっています。実験室でマウスを無菌状態で育てると、アレルギーを起こしやすい、免疫細胞が少ない、腸炎を起こしやすい、といった結果になりました。

腸内に微生物がいることが、正常な免疫機能につながっているのです。

腸内フローラを健康に保つ

腸内フローラには年齢があり、しかも免疫と関わってくる。腸内フローラを若々しく保って、免疫力を向上させたいですね。そのためにできることがあります。

発酵食品を摂る

まず一つ、善玉菌を含んだ食品、プロバイオティクスを摂ることです。ヨーグルト、チーズ、納豆、キムチ、ぬか漬けなどの発酵食品です。特に納豆菌は、胃酸に対する耐性があり、生きて腸まで届きます。ヨーグルトにも、生きて胃や腸に届くものがあります。また死んでしまっても、善玉菌の細胞を作る成分が、有効な生理機能を果たすと期待されます。

食物繊維、オリゴ糖を摂る

もう一つは、身体の中の善玉菌の「エサ」となる成分、プレバイオティクスを摂ることです。食物繊維やオリゴ糖がプレバイオティクスで、人間の胃や腸で分解吸収されず、大腸に届きます。そこで、大腸に存在する善玉菌の栄養となり、善玉菌を増やすのに貢献するわけです。

食物繊維には水溶性と不溶性があり、善玉菌のエサになりやすいのは、水に溶けやすい水溶性食物繊維です。ヌルヌルしているのが特徴で、こんぶ、わかめ、ひじき、もずく、めかぶなどの海藻や、なめこ、オクラ、山いも、納豆などに豊富です。

オリゴ糖は、カリフラワー、キャベツ、たまねぎ、ごぼう、にんにく、大豆、バナナ、はちみつなどに多く含まれています。

多様な食事を摂る

最近の研究では、悪玉菌とされている菌のグループの中にも、身体にプラスの働きをするものが見つかってきました。冒頭の研究でも、悪玉菌とされているクロストリジウムが存在する方が、炎症の度合いが低いという結果が報告されています。

腸内フローラのバランスは、善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%が理想的と言われています。偏った食事を摂るのではなく、発酵食品、海藻、野菜、たんぱく質をまんべんなく取り入れましょう。

腸内フローラを若々しく保って免疫力を養おう

腸内フローラの状態が、健康な人のコロナウイルスの進行度と関係があるという研究が報告されました。腸は免疫の70%が存在する場所です。

また、高齢になると善玉菌が減少していきます。善玉菌を増やすため有効なのが、発酵食品、海藻、野菜をとることです。腸内フローラを若々しく保って、コロナに負けない免疫力を養っていきましょう。

執筆

sakura15

 

サイエンスライター。大学院にて生物情報を研究後、半導体開発や遺伝子解析ベンチャー企業に携わりました。 趣味は海外トレッキングで、ネパールを横断するグレートヒマラヤトレイルを歩くのが夢。 生物から理学まで幅広く見ながら、分かりやすく書くことを心がけています。

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